平成23年度メール句会特選

メール句会特選の選句にご協力いただきまして、ありがとうございました。
結果は次の通りです。


8点
58 逡巡は一瞬のこと剪定す 伊藤瓔子
7点
26 母となる心構えや初日記 左近静子
81 初天神孫に内緒の祈願絵馬 柏 節江
268 挨拶は腰伸ばすこと田草取 丸谷領一
6点
16 たち込める墨の匂ひや冬座敷 竹内柳影
375 花道を飛蝗横切る村歌舞伎 安西信之
5点
13 傷あとを完治と撫づる初湯かな 中澤幸子
82 地図のごと池に張りたる薄氷 永田百合子
85 江ノ電の傾ぐ窓より春の海 小池泰子
189 鼻ぺちやも鼻の日焼けは免れず 瀬戸とめ子
388 花八つ手今は使はぬ釣瓶井戸 岸本隆雄
393 霊峰に響く法螺貝秋気満つ 古谷多賀子
4点
1 またとなき富士見日和の初ゴルフ 荻野周雄
53 応ふ間も手許狂はず牡蠣打女 豊原みどり
54 古井戸の不気味な暗さ凍返る 佐々木忠利
111 なまはげを父とは知らず泣きじゃくる 菅野直之
120 花衣脱いで介護の手となりぬ 左近静子
224 土堤を這ふ忍者さながら草取女 佐々木忠利
228 寝袋に包まる一夜銀河濃し 左近静子
346 軽トラの荷台に案山子怒り肩 小池ザザ虫
3点
5 初詣つぎつぎ人の湧くごとし 北崎広治
28 寒紅や披講の声のよく徹り 奥原尋嘉
29 切通し抜けて鎌倉梅匂ふ 池田宏治
132 小さくとも金の風鐸花御堂 伊藤瓔子
146 百幹の芽吹き促す昨夜の雨 大橋宮子
161 あれこれと出して思案や更衣 前田嘉宏
258 鎮魂の一句手向けむ盆の月 伊藤瓔子
280 琴の音にこころ静めて月を待つ 竹内柳影
338 遣り水や菊人形の足袋濡らし 荻野 操
340 明日香風棚田の案山子袖振れる 古谷あきひろ
356 躙り口より忍び寄る寒さかな 北崎広治
399 踏絵見しあとの沈黙長きかな 玉本由紀子
2点
8 追羽根や夕日にかざす小さな手 井関晴義
10 吟行の朝の食卓寒卵 牧野喜代子
17 境内の四手真白なる淑気かな 瀬戸とめ子
24 猪垣す父祖伝来の痩せ畑 古谷あきひろ
25 虹を生む一斉放水出初式 前田嘉宏
32 厩舎より顔だす神馬息白し 平島ひかり
33 水仙の匂ふ急坂海展く 小池ザザ虫
35 真つ白なタオル三本初手水 柏 節江
46 絵葉書のごとき飛騨路の雪景色 高橋宣子
62 病む母へ返事なけれど御慶述ぶ 河村ひいづ
72 池普請番号付けし石ならぶ 小川辰也
79 アパートのドア少し開け鬼やらひ 龍野ひろし
92 鍬先に朝日の躍る田打かな 佐々木忠利
95 われ今や余生楽しむ涅槃西風 中原一宏
97 啓蟄の貸農園にはしやぐ声 吉川元二
123 見送りしあと陽炎へる滑走路 國本桂伸
124 国守る砦たらむと入学す 花岡明美
140 節電に消えし街灯月朧 國本桂伸
151 薫風や一鍬ごとに深呼吸 小池ザザ虫
160 密談の如く顔寄せ茶を摘める 古谷多賀子
164 屹立の崖を彩る藤の房 藤田かもめ
165 観音にまみゆ湖北は遅桜 伊藤瓔子
168 猫に芸教へ春愁晴らしけり 小出修三
191 旅人を加へ広がる踊りの輪 高橋宣子
193 単線の振り子電車や飛騨涼し 左近静子
199 千人力欲しと茅の輪をくぐりけり 藤田かもめ
202 鎮魂の思ひ打ち上げ大花火 菅野直之
234 山頂の風は極楽氷菓食ぶ 伊藤瓔子
240 師の句碑に礼して多摩の清水汲む 古谷多賀子
243 孫よりの暑中見舞に漢字増え 小池泰子
246 片陰に風の抜け道拾ひけり 小池ザザ虫
255 食卓の椅子を仏間に盆供養 吉川元二
262 洋風の家風鈴の吊り場なく 牧野喜代子
271 阿波踊り掛け声まねる帰り道 平島ひかり
274 噴水や光のかけら空に舞ひ 龍野ひろし
290 谷あいの棚田百枚案山子展 池田章子
297 月天心水音たかき用水路 吉川 智
301 まづは一献居待の月を待ちかねて 伊藤瓔子
316 紅葉山翡翠の湖に倒立す 前田嘉宏
318 西伽藍東伽藍や鳥渡る 南田英二
322 古希傘寿女ばかりの温め酒 河村ひいづ
343 手仕事をひざに置きたる夜長かな 小池泰子
354 母偲ぶ野良着姿の案山子かな 高橋宣子
361 繕ひの攩網(たも)も干されて簗仕舞 古谷多賀子
382 穂すすきに風の集まる廃寺跡 永田百合子
392 野仏に木の実降るまま溜まるまま 柏木千枝子
409 月蝕の進むにつれて星凍つる 伊藤瓔子
412 風神の吐息凄まじ虎落笛 泉 春生
415 外つ国の領事館にも熊手かな 小池泰子
416 虎落笛身をすくませて測量士 吉沢美佐枝
1点
6 数へ日の店頭売り子声嗄らす 前田嘉宏
7 着膨れて混み合ふ錦市場かな 中原一宏
11 テント村理髪奉仕のお元日 島崎裕子
14 水仙の香のなかの立ち話 吉川 智
18 献血をまづ一番に成人日 左近静子
19 昼灯し本の虫なるちやんちやんこ 荻野 操
22 月寒し肩寄せあへる塾帰り 井関晴義
23 遅れ来し賀状達筆なりしかな 池田順子
27 屋根の雪落ちて写経の筆止る 河村ひいづ
30 夫の忌を済ませ安堵の女正月 島崎裕子
36 露天湯に見る赤富士や初茜 大橋宮子
39 常連はいつもの席におでん酒 龍野ひろし
40 大利根の寒夕焼に土手上る 渡辺厚子
41 冬籠り又健啖を咎めらる 柏 節江
42 幼等は身を投げ出してカルタ取り 小池泰子
44 オーブンの余熱の長き余寒かな 堀内淑子
50 百日の荒行終えし僧うらら 小川辰也
55 枯れてなほ花材となりし芙蓉かな 前田嘉宏
63 立春大吉帳場に座せる招き猫 國本 桂伸
65 ほうじ茶をもてなす庫裡の土間の冷え 左近静子
66 継ぎ接ぎのトタン囲いや牡蠣の小屋 豊原みどり
69 席題となる卓上の桜餅 藤田かもめ
70 戦禍経し母の縫い針祭りけり 島崎裕子
75 持ち帰へる赤福餅や伊勢の春 井上眞千子
88 鎌倉の鳶舞ふ浦や若布干す 古谷多賀子
90 郷関を出づ少年に霾れり 池田宏治
102 楚々としてタカラジェンヌの卒業歌 左近静子
103 虫穴を出るや津波に襲はるる 古谷あきひろ
107 リハビリの手作りの雛流しけり 島崎裕子
113 啓蟄や二つ返事で旅に出づ 柏 節江
115 冨士見ゆる土手のなぞえに蕗の薹 小池泰子
119 花は葉に地震に戦く日々続く 竹内柳影
127 夜桜の園に募金の声高し 島崎裕子
128 就職のやうやく決まり水温む 前田嘉宏
131 暮れなずむ菜の花明り千枚田 菅野直之
133 堰落ちて右往左往の花筏 丸谷領一
138 山と積む供養の茶筅利休の忌 玉本由紀子
139 節電に意気の上がらぬ花の宴 荻野周雄
144 春めくと言へど屋上風強し 豊原みどり
145 床屋出てひと駅散歩春の宵 吉川元二
149 節電と暗きもよろし蜆汁 鎌田紀三男
158 水郷のけぶる卯の花腐しかな 池田宏治
166 一万坪超ゆる茶畑風薫る 古谷あきひろ
170 灯明を消さじと障子閉めにけり 玉本由紀子
173 リハビリの杖の一歩や夕薄暑 小池泰子
178 被災地にゆつたり泳ぐ鯉幟 渡辺厚子
180 掘りたての筍茹でる鉄の釜 渡辺厚子
182 卯の花や家号で判る道案内 小池ザザ虫
183 ネクタイを外せば気楽街薄暑 北崎広治
190 満目の緑のなかの舟下り 中原一宏
192 雨乞ひかはた妻恋ひか鳴蛙 豊原みどり
194 団扇風送りうながす旅話 荻野 操
197 冷酒に限ると女傑一気飲み 藤田かもめ
198 階段をふみはずす夢昼寝覚め 綿引多美子
203 梅雨の月すでに天心雨上がる 伊藤瓔子
207 醤香の葭簀越しなる蕎麦屋かな 中澤幸子
216 やはらかき新玉葱の白さかな 島村三重子
220 筑波嶺のあたり騒がしはたた神 藤崎倉太
223 停泊の外国船に西日濃し 中原一宏
227 三輪山に先づは一礼お田植祭 井上真千子
230 並び立つ奇峰霊峰雲の峰 藤田かもめ
233 カルメンの舞ふかに縺れ夏の蝶 國本桂伸
241 住職はプール開きの見張役 佐々木忠利
245 縁側の敷居枕の昼寝かな 山下みつぐ
248 ひよつとこの笑はせながら踊り来る 竹内柳影
249 盆の月鎮魂の歌高らかに 伊藤瓔子
250 絵馬堂の柱をつたふ梅雨の漏れ 柏木千枝子
252 山男冷やしラムネを回し飲み 藤田かもめ
254 所在なし踊り待つ間の桟敷席 高橋宣子
267 かまきりの本気の鎌をかざしけり 池田章子
279 虚子句碑の隠るる丈の紫苑かな 池田章子
286 厄日とや空席目立つ空の便 井関晴義
287 海またぎ高速高架月今宵 花岡明美
288 月を見る窓一杯に夜風入れ 堀内淑子
289 豪華船見送る波止の良夜かな 池田順子
291 蹄鉄を替へたる馬に天高し 古谷あきひろ
294 冷ややかや曾て裁きの土間と聞く 牧野喜代子
296 義経の産湯井戸とやちちろ鳴く 中原一宏
305 風鈴を時折鳴らす庭の風 藤崎倉太
308 秋茜棚田の高み高みへと 永田百合子
309 節電の闇に轟く遠花火 安西信之
312 落ち葉踏む音も軽やか朝散歩 平島ひかり
317 秋気澄む湖畔のサイクリングかな 北崎広治
323 御住持の剪るは子規忌の大糸瓜 玉本由紀子
324 向き合ひて妹背とぞ見ゆ案山子かな 古谷多賀子
325 床の間のあたりに聞こえ鉦叩 中原一宏
327 白壁に柿たわわなり城の町 井関晴義
328 棹かざす空の青さや柿熟るる 國本桂伸
332 出水禍の熊野路迂回また迂回 高橋宣子
334 草矢射る勧請縄を越ゆるまで 古谷あきひろ
337 柿を干す山なす皮も拡げ干す 豊原みどり
342 蟷螂の身の半分はまだ青し 河村ひいづ
344 藁匂ふ奉納相撲秋高し 吉沢美佐枝
353 惜しみつも潰す快感霜柱 井関晴義
355 奉納の菊花甲乙つけ難し 河村ひいづ
360 人垣は野菜売り場や案山子展 高橋宣子
364 高札の由来よむ門照紅葉 柏木千枝子
370 フラメンコ楽しむ旅の夜長かな 左近静子
371 生きてゐる実感ひしと日向ぼこ 佐々木忠利
376 風船もお祓ひ受る七五三 山下みつぐ
380 小屋掛けの雨音繁し菊花展 山下みつぐ
381 石蕗咲くや西行坐像堂暗し 小池ザザ虫
386 公園の今日のどんぐり数知れず 柳沼サダ子
391 身のまはり堆書に埋もれ冬籠 泉 春生
395 屋根に積む欅落葉や長屋門 岸本隆雄
398 着膨れて変貌したり伊達男 佐々木忠利
400 不等辺六角形や猪垣す 古谷多賀子
405 通園のバス待つ母子息白し 丸谷領一
411 島原の子守唄聴き炉に涙 玉本由紀子
413 木枯や他に術なし背を丸め 北崎広治
417 沼涸るるこの四つ足の跡は何 柏 節江
419 晴天の予報信じて障子貼る 小池ザザ虫
420 文机に向かふ人亡く冬座敷 小池泰子
421 遅刻して吐く息白く座禅かな 渡辺厚子