平成27年メール句会特選

メール句会特選の選句にご協力いただきまして、ありがとうございました。
結果は次の通りです。


8点
108 信号を待つ間も逸る神輿かな 岸本隆雄
7点
274 五十鈴川映る紅葉に手を濯ぎ 荻野 操
6点
100 語部を募る広島夏来る 豊原みどり
5点
8 仲見世は帰路の楽しみ初詣 國本桂伸
14 おみくじを結ぶ指先冬木の芽 小池ザザ虫
41 新調の靴の弾力青き踏む 竹内柳影
160 星まつり思ひもよらぬ子の願ひ 中澤幸子
190 降るといふ雨待ち切れず水を撒く 古谷多賀子
205 踊の輪唄が変はれば広がりぬ 伊藤瓔子
243 卓袱台は母の文机秋灯し 安西信之
4点
21 ぼろ市や持合はせなき値段言ふ 古谷あきひろ
73 剪定す己が迷ひはらふごと 嶋田とも子
131 バス待つや避けやうの無き大西日 荻野 操
152 駅前や神輿ここぞと揉みに揉む 瀬戸とめ子
226 見るからに廃物利用猪垣す 古谷多賀子
263 学食の大盛の飯豊の秋 北崎広治
289 きつ先を子に見守られ聖菓切る 小山千里
3点
6 手びねりのぐい呑み重し年酒酌む 伊藤瓔子
30 白一色聞きしに勝る雪の余呉 中澤幸子
36 踏みつけて音心地よき霜柱 北崎広治
50 日脚伸ぶ子の縄跳びの百を超へ 龍野ひろし
56 菜の花や岬めぐりのバスは空 波田好博
57 山住みに慣れたるはずの花粉症     南田英二
75 昼酒はうまし蛙の目借時 安西信之
97 子が走り親も駆け出す風車 小池ザザ虫
101 水門は離宮の名残りあやめ咲く 池田章子
102 前向きに生きんと母の更衣 左近静子
110 追剥のごと筍の皮を剥ぐ 玉本由紀子
112 ペン胼胝は死語となるべし啄木忌 竹内柳影
116 車椅子押せば芍薬目の高さ 吉沢みさえ
126 つややかややじろべえめくさくらんぼ 左近静子
139 明らかに現実逃避草を引く 堀内淑子
151 餌咥へ蟻の韋駄天走りかな 岸本隆雄
166 順番のあるかに鳰の子等進む 池田章子
168 くぐるたび青き匂ひの茅の輪かな 龍野ひろし
179 お品書き飛ばす風あり川床料理 高橋宣子
223 秋澄んで普請大工の槌の音 小池泰子
224 ポストまで歩みをゆるめ月の道 岡本道子
227 芭蕉庵の朽ちし敷居やちちろ鳴く 河村ひいづ
287 性懲りもなく歳末の宝くじ 中澤幸子
290 寡黙なる人の一芸年忘 鈴木正紘
2点
5 七草の一と草神の庭に摘む 井上眞千子
9 日当たりの女坂より梅探る 池田章子
24 豆撒きの豆袋より当たり札 田村カネコ
26 近道の畦は柔か下萌ゆる 井口静子
31 白粥に黄の盛りあがる寒卵 國本桂伸
32 旅に酌む一期一会の囲炉裏酒 高橋宣子
33 旧街道格子の内に雛飾る 牧野喜代子
34 雨雫芽吹きの紅を膨らませ 奥原尋嘉
35 親も子も闘志を秘めて大試験 左近静子
38 キッチンは私の城よ日脚のぶ 島崎裕子
39 鴨の陣投込む餌に総崩れ 北崎広治
44 そこはかと檜の匂ふ初湯殿 吉沢みさえ
50 日脚伸ぶ子の縄跳びの百を超へ 龍野ひろし
54 四季の歌歌ふ梅見の車椅子 田村公平
68 茶摘み唄畝を違へて声揃ふ 伊藤瓔子
69 無人駅せめて暖炉の欲しきかな 古谷あきひろ
77 献血に一番のりの新社員 左近静子
78 諸手あげ駆くる園児や飛花落花 丸谷領一
80 日光浴あつらへむきと草を引く 中澤幸子
85 試合後は和気藹藹の花筵 豊原みどり
93 頑なに膝崩さざる新社員 りゅう太
96 参道の洩れ日に燃ゆる牡丹の芽 平島ひかり
98 鐘の音の霞に解けて遠筑波 藤崎倉太
106 嫋やかや万の藤房もつれなし 中澤幸子
119 田植とて男女を問はず頬被り 渡辺 厚子
125 おはようと声かけあひて水をまく 北崎広治
127 なにごとも無くて夕餉の冷奴 池田宏治
136 海開き津波避難の訓辞より 古谷多賀子
146 走り根に迂回やむなし蟻の道 小山千里
149 日本海見下ろし林檎袋掛け 田村公平
150 この暑さついていけぬと外出せず 高橋宣子
157 青田道郵便バイクの赤走る 北崎広治
163 羅の粋筋ならむ浅草寺 荻野 操
191 会ふ度に同じ挨拶油照 鈴木正紘
199 長編の本をバッグに避暑の旅 関 恵子
204 夜半目覚む吾に髭振る油虫 島崎裕子
260 頼みとす階の手摺の冷たかり 豊原みどり
269 柚子二つ添へて届きし回覧板 小池泰子
273 天空の城を彩る紅葉山 小川晴子
277 煤逃げに届く買物メールかな 河村ひいづ
293 相槌は同意に非ず懐手 田村公平
1点
1 雑踏の参道で述ぶ御慶かな 岡本道子
2 氏神へ何はさておき初詣 豊原みどり
3 朝の作務焚火を消して終はりけり 岸本隆雄
10 集落を見下ろすなぞへ猪垣す 古谷あきひろ
11 雪野原湯宿看板林立す 高橋宣子
20 初戎白高張の揺れどほし りゅう太
23 雛の間に北山杉の床柱 岸本隆雄
25 おしやべりにそつちのけなる日向ぼこ 丸谷領一
28 天冠に光る宝石享保雛 岸本隆雄
40 牛とても嫌ふぬかるみ牧開き 古谷あきひろ
49 杣道の先は野梅へ下る道 りゅう太
55 芥子雛の一点の朱がおちよぼ口 岸本隆雄
59 雑草を分けて出でたり名草の芽 伊藤瓔子
60 詠み人の知らぬ歌碑立つ道おぼろ   南田英二
61 合掌家二階三階隙間風 古谷あきひろ
63 御殿雛飾る旧家や土間暗し 奥原尋嘉
64 数多杖ついて貫禄梅ま白 豊原みどり
71 カレンダーめくる早さよ二月尽 関 恵子
76 おしゃべりに夢中の媼ら花を見ず 北崎広治
82 作務僧ら横一列に草を引く 豊原みどり
84 一病に花の見ごろを逃しけり 河村ひいづ
90 青空に浮かぶ初花二つ三つ 荻野周雄
91 雨止みていつのまにやら夕蛙 藤崎倉太
92 ふらここは愉し座板は狭くとも 小山千里
94 ランナーに手を振る少女花菜風 龍野ひろし
95 一陣の風に初蝶見失ふ りゅう太
99 ちまき盛る伊賀の大皿祝膳 小池泰子
100 語部を募る広島夏来る 豊原みどり
104 一病と付き合ひ長し薬の日 左近静子
111 ひと句会終へて一献初鰹 伊藤瓔子
113 雲一つ無きを見渡す五月晴れ 南田英二
115 礼拝の鐘の響くや夕薄暑 小池泰子
120 母の日の居間に子の物孫の物 安西信之
122 夕富士は影絵の如し麦の秋 伊藤瓔子
132 養生の芝に緑陰広がりぬ 伊藤瓔子
133 追へば逃げ追はねば止まる蛍かな 豊原みどり
134 訪ふひともなき奥ノ院夏落葉 北崎広治
143 古刹への坂九十九折ほととぎす 藤崎倉太
153 塩加減どうのこうのとらつきよ漬け 田村カネコ 
155 今の世にランプの宿や河鹿聴く 丸谷和子
158 鐘一打涼しと一句さずかりぬ 牧野喜代子
162 伝来の美田大事に植ゑらるる 竹内柳影
164 聳え立つ神杉滝を隠しけり 高橋宣子
165 嬉しげに曳かれ行く犬梅雨晴間 田村カネコ 
175 夏木立まなこ閉づれば風の音 吉沢みさえ
182 遭難碑なべて若者身にぞ入む 古谷多賀子
183 大手術痕を自慢の生身魂 波田好博
184 茶屋休み庭一面に梅を干す 豊原みどり
189 自他許す阿呆自慢の踊るなり 玉本由紀子
195 目に見へず顔へばりつく蜘蛛の糸 渡辺厚子
206 幸あれと飛沫を浴びる神の滝 岸本隆雄
208 足弱や坂の下より墓拝む 河村ひいづ
211 水澄みて魚住む川に戻りけり 吉川元二
214 新涼や眉墨すいと一を引く 伊藤瓔子
220 皺深き似た者夫婦稲を刈る 関 恵子
228 風に鳴るテープ巡らし鹿垣す 古谷あきひろ
230 藁くづの匂ひの中の苅田道 丸谷領一
231 何植える思案よりまず草を引く 堀内淑子
234 病人の機嫌伺ひ栗を剥く 玉本由紀子
236 紅葉狩り赤城颪に閉口す 瀬戸とめ子
238 庭下駄を脱げばちちろの鳴き始む 吉川元二
241 一鉢の遺愛の五葉松手入 りゅう太
244 渦巻いて芥寄せ来る崩れ簗 りゅう太
247 赤い羽根つけ忘れ来てまた募金 渡辺 厚子
252 秋祭り無人の駅に幟立つ 高橋宣子
253 窓開けて確かむ外気今朝の秋 豊原みどり
254 棚をくぼませてだらりと糸瓜垂れ 荻野 操
255 毒持つと見えで菌の真白かな 玉本由紀子
259 暮れがての園に聞きとむ残る虫 荻野 操
271 家路急く鉄橋釣べ落としの日 平島ひかり
275 祝ぎ事の多き一年年惜しむ 丸谷和子
281 彰義隊墓所に枝伸び帰り花 古谷あきひろ
283 池普請盥に運ぶ大鯰 池田章子
291 南窓すつかり隠し大根干す 島村三重子