鍬さばき誇りて夫は畑を打つ    静子
見送りしあと陽炎へる滑走路    桂伸
地震見舞いかなご送り喜ばれ    和子
山と積む供養の茶筅利休の忌    由紀子
春めくと言へど屋上風強し      みどり
宿場町つばめ忙しく深庇        泰子
目の慣れて蕨摘みとる手の早さ  ザザ虫
腰弁の渡り職人屋根替す    忠利
骨董市春泥まみれ憂しとせず  道子
啓蟄や六十にして仏門に    多美子

老いたれど五体満足耕しぬ   元二
句帳手に囲むいかなご糶場かな 裕子
いかなごを炊きし家中匂ひけり 留美子
波止ぬくし糶待つ人の屯しぬ  宣子
陽炎の関所を越えてみちのく路 倉太
やはらかき新芽の柳風に揺れ  三重子
増水の川音高し椿落つ     智
踏み台によき石ありて芹を摘む 多賀子
初めてとみえぬ畑打ち鍬捌き  とめ子


3月2014
   
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