彦根周辺吟行(9)         古谷彰宏

 

 

                    早崎内湖・湖北野鳥センター:(数回の吟行を纏めたものです)

交通:鉄道・バスなどは不便なので、彦根駅西口近く又は米原駅東口近くのレンタカー使用が便利。米原駅から早崎内湖まで車で約三十分。湖岸道路を長浜経由湖北へ、姉川を渡り更に約五分の湖岸道路沿い。湖北野鳥センターは早崎内湖から更に湖北へ、約五分の湖岸道路沿い。

 見所:早崎内湖は、小白鳥、鴨、鳰、鷭などの水鳥。葭、蒲の穂などの水草。

    湖北野鳥センターは、小白鳥、雁の一種のオオヒシクイ(大鴻)、鴨

鳰、鷭などの水鳥。大鷹、鷹の渡り、大鷲。菱や葭など、いろいろ。


  早崎内湖:湖岸道路を挟んで琵琶湖に隣接した小さな内湖である。この内湖は昔、水田として使われたが、
            現在は元の内湖に戻して、植物などがどのようにして自然のままの姿になってゆくかの調査を行っている。
            いろいろな水鳥などが安心して棲める環境にある。


早崎内湖

 毎年シベリアから、十月二十日頃、灰色の羽の子の白鳥を伴って、約三百羽の小白鳥が渡って来る。    

     スワン今夕日に首を伸べて翔つ   小路智壽子

     尾根越えのスワン夕日に染まりつつ 同  


雪の伊吹山と小白鳥の群

 米どころの近江の農家は、米を刈り取った後の田に再生した稲―ひつじが実るのを、野鳥の餌として残している。早崎内湖に群れる水鳥のほかに、朝夕、伊吹山を背景に、ひつじ田と早崎内湖を行き交う小白鳥の舞う姿が間近に見えるので、特に秋以降は、俳人・写真家などの訪問が多い。

       小白鳥舞ふ高からず速からず  古谷 彰宏

 

  湖北野鳥センター(毎週月・火曜は休館):センター館長の肥田さんは、元校長先生で俳人でもある。この周辺は一九七九年、ラムサール条約の登録湿地に指定され、野鳥の保護・湿地保全が図られている。

 琵琶湖に向くセンターの窓の望遠鏡から、柳の枝に止まってじっと獲物の鴨が近づくのを待つ大鷹、湿地越しに魞や竹生島が見える。

     玻璃磨く野鳥監視所天高し   南上加代子

     鷹を詠む野鳥センターの館長も 張野 秋子


竹生島と湿地

 野鳥に御詳しい宮様が去年の秋、この野鳥センターを御訪問された。公務に御多忙で僅か一時間足らずの御滞在であったが、御自分で望遠鏡を操作され、センターの窓側から琵琶湖の水鳥を御覧になられ、「オオヒシクイは、まだですか?」とお聞きになられ、肥田館長が「今年は少し遅れているようです」とお応えすると、「何時までもオオヒシクイが来てくれる、綺麗な琵琶湖であって欲しいですね」とおっしゃったと、肥田館長は感激されていた。

     宮様は大鷹翔つを待たれざる  古谷 彰宏

  宮様ご訪問から数日後、雁の仲間では一番大きい、国の天然記念物のオオヒシクイ(大鴻)の第一陣四羽、第二陣六羽が飛来した。琵琶湖の菱の実を食べる様子を、野鳥センターの肥田館長や若い職員が望遠鏡で、はっきり捉えて見せてくれる。(望遠カメラを持っていないので写真をお見せ出来ず残念)

   

       初雁の四羽に六羽着水す     古谷 彰宏

       外つ国のナンバー札巻く雁来たる 古谷 多賀子

 

 湖北野鳥センターを挟んで琵琶湖と反対側に山本山がある。ここは琵琶湖から吹く風が上昇気流になるので、南国へ渡る鷹がこの上昇気流に乗って高度を上げる絶好の場所になっており、十一月頃から、サシバやハチクマなどの「鷹の渡り」を望遠鏡で見せてくれる。

      望遠鏡望遠カメラ鷹を待つ  古谷 彰宏

  
山本山と小白鳥

     また、この山本山には、日本では北海道でしか見られないという大鷲が飛来する。湖北野鳥センターのビデオで、大鷲が琵琶湖のブラックバスを捕獲し、食べる様子を見ることが出来る。今年一月中旬、運よく山本山の中腹の枯れた松に止まっている大鷲を、愛鳥家やカメラマンの望遠鏡を覗かせてもらって、黄色い嘴と白い尾羽をはっきり見ることが出来た。  

       一山の松皆枯れて鷲孤高   古谷 彰宏

 

平成17年7月

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