韓国 プサン・慶州 吟行記         古谷彰宏

 

  天狗会という三井物産関係者を中心とする女人禁制の句会メンバーと、同じメンバーが所属する会と併せて100回記念で、特別に夫人の参加が許された韓国旅行となり、14名が参加しました。

約6年前まで、約3年半一ビジネスマンとしてソウルに駐在しましたが、今回は一俳人としての訪問で、チョット視点が異なり、便利さよりも自然がそのままに残されていくことの大切さを再認識した次第です。プサンの車のあまりの多さ、高層マンション群に、ある種の残念さを感じました。しかしプサンの魚市場を中心とした市場街の親しみ易さ、喧騒は昔のままで懐かしいの一言。

   プサン港沖待ち船に霧晴るる

   此処よりの街路樹は桐一葉落つ    

 

 プサンから慶州への高速道路沿いは、山々は黄葉し、麓には土葬のお椀を伏せた様な土饅頭型のお墓が、双つ並び或いは末広がりに見える。鵲(かささぎ)が飛び、木々に高々と巣が見える。

   一碧の韓国(からくに)の空鵲(かち)飛べる

   粧へる山ふところに墳墓あり

 

 慶州の人口30万人に対して80万本という桜並木、単身赴任のソウル駐在時代に家内が訪ねて来た際、桜が満開の慶州の並木を通ったこと、ホテルの窓から見えた湖の周囲を、もの悲しい韓(から)音楽を聴きながら二人で歩いたことなど思い出しました。

慶州をあげての新羅王の御稜などの古都保全・自然保護・環境整備など、さすがに世界遺産の古都新羅でした。街路樹の若い桜の幹にはもれなく、日本の松にする様な菰が巻かれていました。それだけ冬を迎える準備をして街路樹を大切にしているのが判りました。

   王陵を遠巻きの木々小鳥来る

   田仕舞に新羅の鐘の響きをり

   街路樹に菰巻く古都の冬支度

 

 韓国新幹線はフランス製。駅もフランス風。慶州からソウル迄の車窓風景を

楽しむ快適な旅。ソウルの石焼ビビンバの昼食の際、一人一句の句会を締めくくりとして、私用の為に皆より一日早く帰国しました。

   村落のあれば鵲(かち)の巣高くあり  

     

 

平成16年12月

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