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東京句会情報

  掲示板に寄せられた出席者からの東京句会情報です

[1165] 第166回「東京句会」 投稿者:杉浦聖樹 投稿日:2004/09/07(Tue) 20:47

日時;平成16年9月4日(小路紫峽主宰出席)
出席;27名/出句;当季雑詠135句
入選;雑詠30句(うち特選5句)、欠席投句11句

《特選句、選評紹介》小路紫峽先生選
腕まくりして佇つ厨涼新た     猿渡律子
選評;夏の厨は二の足を踏むが、「涼新た」の季語が良く効いて、心新たに腕まくりする主婦の心が表現されている。

こときれしごとく静まり子ら昼寝  尾高好子
選評;「こときれし」という語を昼寝に使うことは珍しい。作者の感じたものをそのままに詠んでいる。

甲高き声の会話や滝の前      林 貞子
選評;滝の前は音も大きく、声もいよいよ甲高くなる。おそらく声は女性であろう。賑やかな情景がとらえられている。

離室へと続く叢虫時雨       城戸崎丹花
選評;叢に虫が鳴いたという何でもないことのようだが、離室へと続く叢と虫時雨のなだらかな表現がよい。

朝涼の窓開け二度寝したりけり   堀内淑子
選評;夜の寝苦しさから解放されたという実感が「朝涼」の季語によって具体的に表現されている。

《講評》
季語のもつ雰囲気を掴む。
俳句は取り合わせて作るものではなく、感じるもの。
日頃から、見て感じる訓練を。

 

[1118] 東京句会 投稿者:聖樹 投稿日:2004/06/10(Thu) 20:44 

平成16年6月5日「第163回ひいらぎ東京句会」(小路紫峽先生選)の句会報が届きました。出席30名、出句数150句、特選6句、入選39句、欠席投句入選9句。

<特選句;選評>
裏山の暮れて浮き立つ白菖蒲   岸本隆雄
「浮き立つ」が良い。遠近感をうまく表現している。

蚊に刺され井戸端会議お開きに  猿渡律子
本当の井戸端会議の主婦の様子をうまく詠んだ。何でもないことを素直に表現しているのが良い。

頂上に二礼二拍手風薫る     瀬戸とめ子
季語の働きを上手に用い、頂上の感じを表現。実際に見なければ分からない実感と思う。

猫の額なれどてこずり草を引く  小北作子
「てこずる」の語で小さくても根が深いさまをうまく表現。

卒然と墓所に高音やほととぎす  林 貞子
「ほととぎす」は死所に誘う鳥と云われる。墓所であるがゆえにほととぎすが突然に鳴いたことに驚きを感じた。

これからも仮寓の続く更衣    井口静子
「これからも」の語に作者の人生を表現。「更衣」というと動作を詠むものだが、季語の新しい使い方の句である。

<講評>
同じ所で作ることを大切に。吟行して季語を知り、自分の好きな季語を持つことが良い

 

[1104] 東京句会 投稿者:聖樹 投稿日:2004/05/08(Sat) 16:44 

平成16年5月1日「第162回ひいらぎ東京句会」(小路紫峽先生選)句会報が届きました。(当季雑詠;出席25名、出句数125句、入選17句、欠席投句入選2句/席題;出席24名、出句数48句、入選9句)先生ご欠席の句会で特選、選評がありませんので、幹部同人・推薦作家の入選句、及び入選句の中から互選で得点の良かった句を掲載します。

<当季雑詠>
やみくもに打つメーデーの太鼓かな  伊藤瓔子
メーデーに漢字ばかりの旗並ぶ    伊藤瓔子
椎匂ふ木蔭に野外コンサート     竹内柳影
陽に光り水に光りて柳絮とぶ     城戸崎丹花
隣村よりも助つ人茶を摘める     古谷多賀子
とまどひの鋏一気に牡丹剪る     窪田季男
パソコンで見る母の日の贈物     岸本隆雄
囀りに教会の窓開け放つ       山本勝子

<席題;リラの花、更衣>
リラの花栞るも北の旅名残      山田節子
花売は金髪乙女リラの花       伊藤瓔子
夕さればリラ冷えつのる大通り    古谷多賀子
ポケットにもみくちゃの文更衣    猿渡律子
人に頼ることなく生きむ更衣     平沢ひで子
更衣吾子の裄丈伸びにけり      林 貞子

 

[1081] 東京句会 投稿者:聖樹 投稿日:2004/04/07(Wed) 22:43 

平成16年4月3日の「第161回ひいらぎ東京句会」(小路紫峽先生選)句会報が届きました。出席30名、出句数150句、特選5句、入選22句、欠席投句入選5句)

<特選句>
首筋を撫づる夜風の春めきぬ     荻野周雄
選評;冬の夜風なら冷たいが、寒さを感じなくなったところに春を感じた。「春めく」の新しい使い方である。

花下に立ちたぐり寄せたる記憶かな  伊藤瓔子
選評;誰にでもある経験。「たぐりよせたる」の表現が良い。

いでたちは十人十色花の宴      林 貞子
選評;それぞれの恰好で、肩肘を張らない姿が良い。

野の果の霞に浮くは富士ならん    小川辰也
選評;霞に浮いた富士にうまく焦点をあてたところがこの句の手柄である。

花を見る話まとまり途中下車     尾高好子
選評;(原句は「桜見る」)桜よりも花が良い。電車での雑談で気軽な花見の気持ちが表現されている。

<紫峽先生講評>
「俳句は同じところで何べんでも作れるものであり、同じところの方がよく見える。私も布引の滝を50年見ているが、ものを見ることが俳句の基本である。人格を陶冶するとは表現力を作ることである。実感を詠む努力をして自分の句を。」

 

[909] 東京句会 投稿者:杉浦聖樹 投稿日:2003/08/05(Tue) 20:42 

平成15年8月2日の第153回「ひいらぎ東京句会」(小路紫峽先生選)の句会報が届きましたので、大阪句会同様、特選句をご紹介します。

出席者24名 出句数120句 特選4句

待ち合はせ場所を逸れゆく道をしへ  伊藤瓔子
選評;「道をしへ」の状態をよくとらえている。

惜しげなく百選の水庭に撒く  平沢ひで子
選評;「惜しげなく」という表現に作者の気持ちがよく表れている。

子蟷螂風に押されて走りけり  小川辰也
選評;「風に押されて」というところに作者の実感がある。

半日にして半袖の日焼かな  佐野克男
選評;「半・半」を並べたリズムが良く、表現もうまい。

消印は軽井沢なる夏見舞  佐野克男
選評;避暑地からの手紙であろう。夏見舞の季語の使い方が良く、避暑地への連想が拡がる。

紫峽先生の講評;
「説明せずに、感じたことを詠むこと。集中力を養い、時間をかけて深く入ってくる実感を詠む。スナップ写真のような俳句ではなく、じっと見て、自分の句を作ることが大切である。」

[891] 東京句会
投稿者:聖樹 投稿日:2003/07/18(Fri) 01:30 

平成15年7月5日の第152回「ひいらぎ東京句会」(小路紫峽先生選)の句会報の一部をご紹介します。(スペースの都合上、出席者の投句のみとし、席題、欠席投句は割愛します。)

出席者 23名 出句数 115句 入選 16句

十人の十日がかりと茅の輪結ふ    伊藤 瓔子
緑蔭の井戸端会議犬を抱き      荻野 周雄
初鮎の骨気持ちよく抜けにけり     荻野 周雄
茅の輪くぐる牛歩の列のしんがりに  荻野 操
スタンドの野次将軍はアロハシャツ  北崎 広治
ぶつかりてつながる貨車や青嵐    佐野 克男
檀林の落慶を祝ぎ蓮開く          竹内 柳影
寛永寺中堂覆ふ茂かな          竹内 柳影
花あやめ比べ十二橋めぐりかな    早川 和男
夕富士を遠見の窓や吊忍        林 貞子
鐘一打蓮の葉畳渡りけり         深瀬 和子
不忍を一周したる樹下涼し        深瀬 和子
戸隠の霧に老鶯鳴き交はす      古谷多賀子
これ以上短くできぬ髪洗ふ        堀内 淑子
端居して目を細めたる子猫かな    南 なぎさ
図書館の涼し居眠る人の居て     山本 勝子

 

[836] 東京句会報(1) 投稿者:杉浦聖樹 投稿日:2003/04/08(Tue) 21:11 

第149回ひいらぎ東京句会(平成15年4月5日)
 出句数140句、入選28句
特選句
 初蝶や千鳥ヶ淵の風に乗り      増田かず
 買物を付き合はさるる花疲れ     伊藤瓔子
 紙風船富山の薬匂ひけり        佐野克男
 初花に嬉々と飛び交ふ神の鳩    増田かず
 式終へて母との別れ入学す      古賀美奈子
入選句
 戻り来し恋猫ならむ雨戸掻く       佐野克男
 園の薔薇膝をかがめて剪定す    深瀬和子
 引揚げの子も老いにけり鳥雲に    竹内柳影
 煌くは伊豆の海なり土筆摘む      岸本隆雄
 屋上は社員の広場花の昼        林 貞子
 供として花の筵の末つ方          伊藤瓔子
 喧噪の上野の山に花疲れ        小北作子
 旅にして漱ぎし水の温みけり       佐野克男
 時差ぼけのなほらずじまひ新学期  深瀬和子
 菰とりて日差喜ぶ木の芽かな      杉浦聖樹
 徳利のあやふく立てる花筵        伊藤瓔子
 柳の芽頬打つ時の固きかな      千輪久子
 花疲れ眼鏡ずらして居眠りす      深瀬和子
 残り鴨千鳥ヶ淵に水尾長く        増田かず
 観桜会二次会も又花を見に      小北作子
 満開の機先を制す花の雨       北崎広治

[837] 東京句会報(2) 投稿者:杉浦聖樹 投稿日:2003/04/08(Tue) 21:24 

第149回ひいらぎ東京句会(平成15年4月5日)
 出句数140句、入選28句
[836]より続き
入選句
 初音聞く朝の目覚のすがすがし  高田留美子
 雨なれど花明りして飛鳥山      深瀬和子
 拭込みし百間廊下花の冷      平沢ひで子
 奉賛の立札並ぶお屋根替      岸本隆雄
 コーヒーの砂糖入れ足す花疲れ  荻野 操
 うららかやポケットに鳴る鍵の鈴   林 貞子

欠席投句(出句44句、入選7句)
 筋ひとつちがふ静かさ花辛夷     井口静子
 田楽や土間に井戸ある蔵造り    古谷彰宏
 花辛夷ひねもす風に光りけり     井口静子
 経文も宋の渡来や出開帳       古谷彰宏
 富士見台のぼりて見れば鳥雲に  井口静子
 産土の神の岩山百千鳥        岡部佳之
 苺食ぶテーブルクロス替えもして  平松マサエ

[782] 東京句会・私のメモから 投稿者:隆雄 投稿日:2003/02/03(Mon) 17:06

  特選句に対する紫峡先生のコメント
 着ぶくれて涙腺もろき齢かな 平沢ひで子
  「涙腺もろき」と言う表現がよい。「着ぶくれ」と言う季語とよくマッチしている。
 穴を出し虫か野鳩の啄ばむは 猿渡律子
  「虫か」と言う言葉に心の連想がある。
 いにしえは国見の丘や吉書揚 古谷彰宏
  現代と過去とのつながりが感じられて面白い。
 峠とも底とも言ひて寒がりぬ 佐野克男
  とても省略の効いたよい句。峠、底と言う表現がいい
 柊さす明治この方この戸口  佐野克男
  家系が連想される。


「見たことを言うだけでは報告のみになる。何かをプラスすること。物の見方が足らないから、プラスアルファーが出てこない。このプラスアルファーがその人の味となる。新しくてコクのある句を作ってほしい」