平成20年メール句会全入選句

20年の特選を皆で選びましょう。
今年の入選句は375句、 良いと思う俳句、お好きな俳句を10句選んで、選句フォームよりお送りください。
締め切りは、1月7日、結果の発表は1月13日頃です。
選句はこちらから


1	一杯のお神酒頂きどんど待つ	
2 気の抜けぬ母の看取りや去年今年
3 雑踏の銀座通りや女正月
4 手づくりの年玉袋墨匂ふ
5 届きたるファッション雑誌春告げぬ
6 裸木となりて明るき雑木山
7 胼薬蓋して我の今日終る
8 ドアボーイ最敬礼の御慶かな
9 葉牡丹の渦を埋めて雨雫
10 客待ちの車夫に堀端日脚伸ぶ
11 参道の脇の竹薮笹子鳴く
12 十字架のごと首伸べて鳥渡る
13 築山は一面苔や実万両
14 立ち入りの禁止のロープ冬菜畑
15 休日の続き都心に星冴ゆる
16 末枯れや外人墓地に遠汽笛
17 餅焼くや暇持て余す長火箸
18 歓声にたぢろぎもせず冬の鹿
19 去年今年借りたる本を読み急ぐ
20 ビル谷間拍子木響く夜警団
21 搗きたての見様見真似の供え餅
22 新しい楽譜うれしい初稽古
23 氷柱垂る崖の真下に不動尊
24 仏具皆ばらばらに煤掃き申す
25 手作りの年越し蕎麦をお隣りへ
26 夜の雪黒紋付の肩に舞ふ
27 松籟や水鳥波に逆らはず
28 玉子酒深夜零時の暗き灯に
29 チョコレートケーキを焼くや外は雪
30 轟きて流氷またも接岸す
31 猫眠る不開の門や柊挿す
32 鉢物に一匙目安寒肥す
33 掻き混ぜる塗り箸朱し玉子酒
34 空つ風雷門を見上ぐれば
35 四阿に関羽祀りぬ春節祭
36 銭洗ふ窟に湧く水温みけり
37 棚整理本箱整理日脚のぶ
38 逃げ足の早き窓の日室の花
39 落日や版画のごとき枯木立
40 寝支度を整へて干す玉子酒
41 笹子鳴く山の辺の道沿ひ行けば
42 山裾に日の丸一戸建国日
43 初笑ひ老いは一際高らかに
44 流氷の接岸駅舎揺らしけり
45 無為に過ぐ今年二月ももう半ば
46 競ひつゝ土持ち上げる物芽かな
47 妻の手に負へぬ大根引きにけり
48 四阿でトランプ遊び日脚伸ぶ
49 人垣の二重三重獅子舞来
50 水底に亀の歩きて水温む
51 地酒かけ大雪像を取り壊す
52 枕辺にお粥の匂ふ春の風邪
53 挨拶は日脚伸びしと犬散歩
54 大切に着る古コート重きかな
55 日溜りにひしめく鯉も春めけり
56 風光るいにしへ人を偲ぶ丘
57 明るさに窓を覗けば夜半の雪
58 寒月や夜目にも白し波頭
59 七つ星寒夜の空に煌けり
60 群馬より墓参の報せ阪神忌
61 校庭の雪を集めて泥だるま
62 受付のふきげんな顔冴返る
63 ふつと止む風に陽射しの暖かき
64 郷関のエリートとして卒業す
65 啓蟄の蟻とて歩み遅からず
66 散らし鮨関西風や雛御膳
67 反り橋の下を屯す流し雛
68 桟俵頼みの綱と雛流す
69 杉花粉ものともせずに奥の院
70 折角の天気を覆ふ黄砂かな
71 念願の離宮拝観青き踏む
72 リフォームの母の紬の花衣
73 杭を打つ音に驚き地虫出づ
74 鹿寄せの先頭切るは牡鹿かな
75 城内は鳥獣保護区囀れる
76 武家門の頭上注意や雪しずれ
77 ペン措かず左手につまむ雛あられ
78 故あらむ残りし鴨の寄り添ふは
79 充血の眼を疑へば花粉症
80 丈揃ひなる口開けの若布干す
81 千切れたる若布寄せ来る加太の浜
82 実朝の詠ひし海の若布干す
83 津和野路をSL走る春となる
84 目刺焼く可も不可もなく路地ぐらし
85 乱読のむかし懐し菜の花忌
86 ポリ瓶の手作り風車春の風
87 百棟の屋根替へ賛否持ち越され
88 流し雛風に吹かれて戻りけり
89 土産手にすれば荷物となるコート
90 トラックの茣蓙を飛ばして春疾風
91 春の雨いつしか止みて鹿島立
92 紀州弁名古屋弁や雛の客
93 春雨や古社燈篭に灯の明り
124 雨あがる気配に雲雀揚りけり
125 見下ろすは穀倉地帯麦青む
126 酔ふほどに句談義はずむ花筵
127 京野菜前に並べて苗木市
128 啓蟄や四十八坊石遺す
129 初めての吉野は花の雨となり
130 遍路杖突いて下船の西洋人
131 満席の花見トロッコ峡日和
132 蠅生まる縁切寺の潜り門
133 な踏みそ菫草咲く杖の先
134 急斜面膝を汚して畑を打つ
135 落花霏霏無人の駅に長停車
136 うす暗き十間廊下武具飾る
137 心経のどよもす花の蔵王堂
138 体重の減りしはいかに更衣
139 笠雲はしりぞき富士の山笑ふ
140 花屑のきりきり舞ひして吹かれをり
141 城址へと雑木芽吹きし道は急
142 贅尽くす弁当銘酒花見舟
143 のどけしやひとりごとめく母の歌
144 しばらくは連翹明かり続く径
145 西行忌花の蕾の固きまま
146 花霏霏と白衣観音裾模様
147 菜の花やペダル軽々土手の道
148 終はりには上手になりて蟹を食ぶ
149 ふるさとの春の小川に魚影見ず
150 矍鑠と白寿の母の更衣
151 母の日の誇大包装良しとしぬ
152 戸袋の中に育ちし雀の子
153 雑草に埋もれて都忘れかな
154 石組の岩を彩るつつじかな
155 な滑りそ崖は蕨の宝庫とて
156 金色の壺より新茶のひとつまみ
157 水軍の要塞あとや卯波立つ
158 退院の母といただく新茶かな
159 雨の日の退屈凌ぎ豌豆剥く
160 薫風や眺めさすがの長谷舞台
161 灯籠に一房長き藤の花
162 鑿あとの深き石仏蜥蜴出づ
163 梅雨寒や帰り待ちつつ茶碗酒
164 あけぼのの庭に散らばる雀の子
165 新樹光坂なだらかな須磨離宮
166 揺れ動く香りほのかな藤の花
167 園古りて名札も立てず花菖蒲
168 火葬塚覆ひ尽くして樫茂る
169 護摩堂の庇を越えし今年竹
170 酢にむせびつゝすすりたる心太
171 奈良町の簾越しなる昼灯
172 龍穴の注連に張り付く黴青し
173 緑陰の卓にハーブの匂ひけり
174 薔薇園の白亜の城はレストラン
175 ほととぎす忍び音もらす森に入る
176 夕焼に染まり明日香の棚田植う
177 濫造にあらず粗製や鳰浮巣
178 ビール酌む仕事の出来にやや不満
179 夏落葉日の斑と共に掃きにけり
180 電柱のなき街道や燕飛ぶ
181 文机に向ひたる時ほととぎす
182 一弦琴弾く堂縁の蚊遣かな
183 繰返し潜る川鵜を見失ふ
184 梅雨闇に仏師の部屋は昼灯す
185 宮入の神輿一気に磴登る
186 見せ所なる参磴の荒神輿
187 四阿に頭上注意の燕の巣
188 この橋を渡れば信濃植田風
189 チューリップ壊れしごとく散りにけり
190 梅雨晴間病の床に身を起こす
191 冠水の植田に投網打つ輩
192 紫陽花や格子の中の仁王尊
193 呑めどなほ膝の痛みや梅雨と知る
194 カ−テンに江戸風鈴のあふらるる
195 源流は蛍飛び交ふ旅の宿
196 時鳥野仏多き行者道
197 通り雨鬼灯市の行き帰り
198 苑涼し微かに水車軋む音
199 雲の峰崩れんとしてまた立ちぬ
200 亀甲に罅割れしたる旱苔
201 合掌を解きたるときにほととぎす
202 盥舟ゆらぎ漕ぎ出す佐渡は夏
203 つなぎたる片手離さず汗拭ふ
204 亀石に一樹の影や炎天下
205 雑草と侮る勿れ草茂る
206 走り根の股に生えたる梅雨茸
207 避暑旅行日取り重なる誘ひかな
208 百段の磴を上りて夏祓
209 風そよぎエーデルワイス唄ふかに
210 山霧の突如襲ひし九十九折
211 大空へ駿馬のごとく揚花火
212 雨降れどあぢさゐ寺はこの人出
213 雲の峰落日に列正しけり
214 建て直し決まりし家に帰省かな
215 蛍見に東京弁の夫婦かな
216 緑陰を選びて停まる縄電車
217 せせらぎに揺れる葉先の糸とんぼ
218 青田風初めて訪ひし道遠く
219 銅盤に浮くは二匹の屑金魚
220 貧農を継がせし悔いや夏蓬
221 ナフタリン袋からつぽ土用干
222 への字なす琵琶湖大橋雲の峰
223 一瀑の音の聞こゆる九十九折
224 細き葉の垂れて空蝉すがりをり
225 朝ひぐらし夕ひぐらしに座禅組む
226 へとへととなりて戻りし日焼けの子
227 雲海の果てにぽつんと富士の影
228 茄子漬けの紺の鮮やか食進む
229 水を撒く日課となりし夕餉前
230 猛暑とてやらねばならぬ野良仕事
231 老鶯や展望台は視界ゼロ
232 新涼や糊の利きたるシ-ツ敷く
233 滝の音聞こえて険し行者径
234 筆とりて一句寄進や盆灯籠
235 満州は母の口癖終戦忌
236 冷房車先づは帽子を脱ぎにけり
237 湖畔なる松をゆるがす風は秋
238 正座の子居並ぶ広間夏期講座
239 シャンソンを涙して聴く秋の人
240 香水の匂ひや女性専用車
241 大南瓜戸板に乗せて売られけり
242 揚花火谺返しの湖面かな
243 音のみの花火探して空仰ぐ
244 竿灯会競ふ漢の心意気
245 走馬燈吊るす旧家の通し土間
246 炎天や己の影の見あたらず
247 和の一字しるす親父の墓洗ふ
248 夏木陰顔を拭ひて息つきぬ
249 憚からぬ鼾放ちて昼寝かな
250 警策の乱打のごとき大夕立
251 かりがねや頂きかけて送電線
252 ラジオ体操十年ぶりや朝涼し
253 敬老日髭長き海老膳にのる
254 月を待つ源氏絵巻の須磨に来て
255 三の丸跡を舞台の観月会
256 四阿に汗の笑顔の集まり来
257 時差呆けの身をもてあます残暑かな
258 出羽富士を望む畦道豊の秋
259 招待状早々にくる敬老日
260 城跡の松籟秋を奏でけり
261 埠頭行く初秋風に目を細め
262 なだれ咲き星座めくかな烏瓜
263 一服とベンチに座せば風は秋
264 玉石を焦がしてキャンプはてにけり
265 獅子跳ねて南京町は秋祭り
266 十六夜の月を待たずに須磨を去る
267 側溝の激流と化す夕立かな
268 那智の滝千年杉の磴くだる
269 百花園隈なくてらし小望月
270 かなかなや御所にそびゆる大銀杏
271 括られて築地塀越す萩となる
272 月を待つ須磨を俯瞰(ふかん)の潮見台
273 秋耕や起伏なす畑果て見えず
274 昼灯す旧家の土間や虫を聴く
275 釣鐘の真下に並ぶ蟻地獄
276 東京にありて孤独や鰯雲
277 拡張の続く空港天高し
278 照り返す御所の砂利道秋暑し
279 河川敷かくも賑ふ盆踊
280 床上げの母と仰ぎし月まどか
281 丹波とて小粒ながらも栗甘し
282 電線を垂れて房なす葛の花
283 渡し場へ近道となる刈田かな
284 花鋏鳴らして涼し今朝の庭
285 こおろぎのボイラー室で鳴きつづく
286 菜園に案山子を立つる老夫婦
287 西瓜喰む父子ドングリ眼かな
288 虫の音や窓開け放し湯に浸る
289 面悪くともこの梨の味の良し
290 諍いののちの沈黙夜長し
291 手さぐりに肌掛けさがす朝涼し
292 トンネルの続く飛騨路や暮れ早し
293 地下鉄の出口に迷ひ秋暑し
294 萩の露作者不詳の歌碑濡らす
295 横臥して糸瓜棚見る子規病間
296 乾きたる流木焚くや簗仕舞
297 泣きながら走る園児や運動会
298 古民家今も住みゐし囲炉裏守る
299 紅色のゲートル巻きて馬肥ゆる
300 難渋の足場ものかは根釣人
301 今年酒説教好きな僧と酌む
302 庄屋門コスモス畑見はるかす
303 草虱犬の尻尾につき易し
304 紐引けば赤き舌出す案山子かな
305 運動会終へて足湯の園児かな
306 血圧の下がりて長き昼寝かな
307 座り良き丸太を台に年木積む
308 神体と仰ぐ大滝涸れ知らず
309 水棹さす漁師に釣瓶落しかな
310 貼り替へし障子に一日雨の音
311 看板の倒れしままに崩れ梁
312 小気味よく歩道に跳ねる木の実かな
313 登高す鎌倉の山低けれど
314 病抜け体調よろし食の秋
315 野の花を活け終へて虫を聞きにけり
316 紅葉狩父の健脚あなどれず
317 爽やかや作務衣姿で座禅組む
318 小鳥きてなにか良いことある予感
319 我が耳の中に響くや残り虫
320 露けしや墓石めきたる句碑百基
321 新松子待合室に置かれけり
322 囲を張れる蜘蛛に子蜘蛛の潜みゐて
323 縁側に立つや月光満身に
324 祖母ゆずり薄むらさきの秋袷
325 要領もわからぬままに胡桃割る
326 顔見世に誘はれ急遽旅支度
327 松手入すみたる御苑逍遥す
328 太刀打の出来ぬ酒豪や囲炉裏酒
329 芋入れてこその良き音芋水車
330 大壺に秋草さはに陶芸展
331 虚子祀る矢倉にかかる烏瓜
332 倒木の仮橋渡り冬山家
333 国宝の城濠の松菰を巻く
334 神々の脛を丸出し里神楽
335 南縁の日差しのひと間冬籠
336 噴煙の雲と見紛ひ山眠る
337 公園は今彫刻展文化の日
338 少々の皺は愛嬌障子貼る
339 頼り合ふ齢となりて温め酒
340 りんご園一揆の村の道筋に
341 お百度を踏む足速き小六月
342 大根を懸け終へて日を仰ぎ見る
343 野菊咲く通学路なる造成地
344 よく見れば五彩の落葉沈みゐし 
345 箱ぬらしピザの出前や初しぐれ
346 吹き溜まるいろは紅葉や茶店閉づ
347 御生家の坂は長しや青畝の忌
348 筑波嶺の翳れば釣瓶落としかな
349 鳶の笛止むやいなやに鷹来る
350 年用意出刃包丁も磨きけり
351 立ち喰ひに女もはいる師走かな
352 着ぶくれの雑魚寝や船の二等室
353 忘年会ドクターストップなんのその
354 落柿舎の屋根の高さに柿たわわ
355 日記買ふ人を見やりて通り過ぐ
356 日短かご飯ですよと妻の声
357 海に向く遊女の墓や水仙花
358 スケーター出番待つ間の深呼吸
359 松竹梅一鉢に足る年用意
360 古筵足投げ出して小豆打つ
361 まづ鍋を磨きてからの年用意
362 ディズニーのポチ袋買ふ年用意
363 納骨をすませて古都の秋惜しむ
364 墓石に補修の名残阪神忌
365 闘病や夫に感謝の去年今年
366 一人ではどうにもならぬ煤払い
367 曲がり屋の土間の入り口大根干す
368 着ぶくれて早朝ゴルフ儘ならず
369 着ぶくれや三日坊主のストレッチ
370 曲がり屋の裸電球榾火燃ゆ
371 湖畔沿ひ衛兵めきし鴨並ぶ
372 人恋しメールを交はす長き夜
373 松ケ枝の雪を蹴散らし寒鴉
374 境内に千の提灯酉の市
375 蓑虫や分銅のごとぶら下がる