平成24年メール句会全入選句

24年の特選を皆で選びましょう。
今年の入選句は421句、 良いと思う俳句、お好きな俳句を10句選んで、選句フォームよりお送りください。
締め切りは、1月7日、結果の発表は1月13日頃の予定です。
選句はこちらから


1	はからずも子にいただきしお年玉	
2 巻き鮨や納大師のお摂待
3 喫茶店九官鳥の御慶受く
4 古希迎ふその日を記す初暦
5 神杉に火の粉のかかるどんど焼き
6 梅探る曽我兄弟の墓所
7 うす味の老いにやさしき七日粥
8 花時計模様替へして春を待つ
9 甲山くつきり見えて日脚伸ぶ
10 黒髪をきりりと結ひて春小袖
11 七草を囃し叩いて朝餉かな
12 手際よき嫁の奉行や鮟鱇鍋
13 朝まだき臨時バスにて初詣
14 冬至とて南瓜餡蜜注文す
15 縫初の糸を通すに一苦労
16 パチンコは恵方の店を選びけり
17 まさぐりてバッグから出す風邪薬
18 人波に片手で拝む初参り
19 余生とふ齢重ねて年酒酌む
20 旅立ちや立春の日を心待ち
21 いたいけな児の諳んずる歌留多かな
22 新年会老いの自慢は年の数
23 どんど焚まづ風下に放水し
24 鴨の群発ちて夕日を遮れり
25 升酒にほろ酔い気分初ゴルフ
26 先づ無沙汰詫びて始まる年忘れ
27 ポインセチア深紅の影を重ね合ひ
28 合掌し息絶えてをり枯蟷螂
29 初孫を心待ちして去年今年
30 路地裏を寒風抜ける漁師町
31 ふくろうをホロスケと呼ぶ湯治客
32 道真の歌碑を横目に梅探る
33 二十四の瞳の浦に初日かな
34 風花の舞ふバス停に急ぎけり
35 大空へ禰宜の射初や邪気払ふ
36 腰弁の渡り職人屋根替す
37 骨董市春泥まみれ憂しとせず
38 汐入川オレンジ色の夕焼かな
39 着ぶくれの背筋を正す茶の師匠
40 敷藁の下にさみどり蕗の薹
41 炉埃に家紋錆びゐし舟箪笥
42 マフラーや巻いてみてまた編み続け
43 花好きは母譲りなり春を待つ
44 啓蟄や六十にして仏門に
45 七色ににじむ街の灯夕霞
46 素泊りの筈が三泊雪止まず
47 老ひたれど五体満足耕しぬ
48 句帳閉づ残る寒さに耐えかねて
49 春燈下懇ろに見る絵巻物
50 鴨百態ながめのダム湖一周す
51 雪深し人数減りし山仲間
52 着物着て粋な男性針供養
53 風除けの中を覗けばポンプ井戸
54 糸通し今も得意や針供養
55 畳屋の親方も居て針供養
56 詮も無し越路の雪に籠りけり
57 藤原京跡は広しと凧
58 木の芽吹くなにか良きことある予感
59 両の手でゆつくりほぐす春の土
60 遠来の客をもてなす花菜飯
61 懸想文買うて吉田へ詣でけり
62 篠竹のそよぐ筆塚初天神
63 湘南の寒さ知らずのサーファーら
64 水仙や活断層の走る島
65 袖口のねじれしままに凍りけり
66 鰯焼く露店に試食節分会
67 幾重にも網干す安房や浜遅日
68 山門に鬼の迎へる節分会
69 大阿蘇の風に追はれて野火走る
70 城跡の日向日陰に梅ふふむ
71 句帳手に囲むいかなご糶場かな
72 足湯してバス待つ子らや山笑う
73 いかなごを炊きし家中匂ひけり
74 園の池番の鴨の残るのみ
75 菜の花や塩田跡に果てしなく
76 青芝の咥へ煙草を咎めけり
77 膝癒へてみなぎる気力青き踏む
78 目勘定して残る鴨十四・五羽
79 寄鍋を囲み絆を深めけり
80 旗ばかり立つ賑はひや梅寒し
81 城垣を盾に広がる梅の園
82 青き踏む今日は百歩の試歩の杖
83 売ることを決め春塵の本の山
84 汐入川住み心地よし鴨残る
85 波止ぬくし糶待つ人の屯しぬ
86 和綴ぢなる和漢医法や紙魚の糧
87 手にとれば野辺の香りよ草の餅
88 猪の毛皮干しある料理店
89 踏むまじやガラス屑めく今朝の霜
90 阿蘇五山くつきり見えて日脚伸ぶ
91 春泥を撥ぬる蹄や調教馬
92 竹林の明るくなりて名残雪
93 下萌やボール遊びにはしやぐ声
94 床の間に刀の傷や御殿雛
95 風光る木場に荷上げの達磨船
96 おとがひに髭白々と徒遍路
97 マンションの続く川筋花万朶
98 四月馬鹿塩と砂糖を取り違へ
99 新しき出合ひの四月始まりぬ
100 朝礼に一陣の風花吹雪
101 畠に積む棄て大根も花盛り
102 老残の身を労りて菊根分
103 おてんばの着物うれしや知恵詣
104 花吹雪駿馬一斉発走す
105 魚の棚花見帰りの人溢る
106 待ち兼ねて居し一輪の椿かな
107 春窮のパンの固さをかこちけり
108 家苞をこたびは買はず花の旅
109 花の宴吾関せずと画布ひろぐ
110 酒蔵に沿ひぬ伏見の花見舟
111 駐車場隅の日溜りタンポポ黄
112 天日干し所狭しと風光る
113 しのばるる手入れの程や垣の薔薇
114 ジョギングのコース只今花畳
115 なにはさて弁当ひらく花の下
116 はからずも甘茶いただく礼参り
117 永き日の客を吐き出す映画館
118 時じくの雪にたぢろぐ旅の靴
119 喪の明けてまづ氏神へ青き踏む
120 陽炎の関所を越えてみちのく路
121 強東風や人のまばらな魚市場
122 旅終へて馴れし寝床に朝寝かな
123 ぼんぼりの他は灯さず花の山
124 やはらかき新芽の柳風に揺れ
125 初蝶の喜々とし遊ぶ雨後の庭
126 花は葉に手持ちぶさたの離農かな
127 九輪草裾広がりに渓染めぬ
128 出迎への眉目よき沙弥や業平忌
129 伸びすぎの筍二束三文に
130 石楠花を愛でつの登坂苦とならず
131 増水の川音高し椿落つ
132 武具飾る奥座敷より子等の声
133 雷雨来と胸のブローチはづしけり
134 たわいなき床屋談義ののどかなる
135 まどろみもして薔薇園のコンサート
136 わが田への溝を浚ふは素手のまま
137 引き出しの奥にまだあり桜貝
138 花の塵とどめ業平格子かな
139 花は葉に夕闇深む並木道
140 腰痛の再発恐る青葉冷
141 腰痛を忘れて子等と潮干狩
142 身の銃創問はず語りや菖蒲の湯
143 跡継のゐるを誇示して鯉幟
144 巣に足を踏んまへてより巣立つ鳥
145 朝夕の読経に牡丹咲き競ふ
146 踏み台によき石ありて芹を摘む 
147 宝前に屋根ずり落ちし雪残る
148 結ひ上げて濡羽色なる祭髪
149 リハビリの靴誂へて青き踏む
150 時の鐘鳴るやに噴水踊り出す
151 滴りに乾く間もなき磨崖仏
152 波猛る三段壁に夏来たる
153 老鶯に耳洗はるる谷戸の寺
154 筍の伸びも伸びたりけもの道
155 もの書くも食事も薔薇の匂ふ卓
156 砂を盛るただそれだけの磯遊び
157 重宝はのこぎり鎌や草を引く
158 初めてとみえぬ畑打ち鍬捌き
159 図書館の窓といふ窓若葉光
160 一つづつゴンドラ消ゆる夏の霧
161 雨蛙鳴きだす声の弱弱し
162 茄子植ゑて息つく雨の夜明けかな
163 田植機のざぶと飛込む水田かな
164 曳船の竿にはためく鯉幟
165 初鰹小振りなれども丸々と
166 新緑や熊に注意の通学路
167 連休の最中卯の花腐しとは
168 朝夕にたけのこを掘る山暮らし
169 母の日や厨の母のわらべ歌
170 これしきの雨と雲雀の高上り
171 噴水の止むを合図にコンサート
172 初めての古都の案内に汗滂沱
173 草の名は知らずひたすら草むしり
174 旧道は片蔭続く蔵通り
175 狭くとも一級河川河鹿鳴く
176 刻みたる名前を摩り盆供養
177 菜園の土の匂ひも梅雨入りかな
178 石仏の並ぶ坂なる登山道
179 緑蔭は樹齢五百のご神木
180 下りには頼みの綱の登山杖
181 山涼しハーブの香る足湯かな
182 夢に醒めよしなき句作明易し
183 冷酒や上戸の主婦等聞き上手
184 老鶯や北山杉の奥処より
185 好きなればこその転職代を掻く
186 国境となる海渡る天の川
187 紫陽花や生き返りたる雨後の庭
188 食進む隠し味とす茗荷の子
189 登り来て千年杉の樹下涼し
190 紫にタワー瞬く夏の宵
191 夏帯や母愛用の桐箪笥
192 だしぬけに犬に吠えられ路地薄暑
193 下闇や太き走り根つづく道
194 青葉闇樹齢千余の大欅
195 噺家は雑談をする手に扇子
196 父の日や早々とどく宅急便
197 不退寺に今日と気付きし業平忌
198 みちのくの旅にあこがれ桜桃忌
199 原生林めく山径や滝めざす
200 雑踏に財布を失くし汗滂沱
201 神在ます古道の杉に霧纏ふ
202 水軍の基地は昔や海の日に
203 致仕の夫日課となりし昼寝かな
204 湯上りの無念無想の端居かな
205 不義理して敷居の高き帰省かな
206 うかうかと採らずじまひの種胡瓜
207 氷菓食べどつと買物疲れかな
208 登山口大小の杖吊るさるる
209 日は西に仕事じまひの水を打つ
210 本堂の波打つ畳梅雨湿り
211 薔薇の香やしばし睡魔に逆らはず
212 まづ腰の蚊遣を燻すボランティア
213 待ち人の日傘で合図歩道橋
214 小流の音を頼りに蛍狩
215 滝の歌碑定家かづらの花匂ふ
216 猫の尾の顔をくすぐる昼寝覚
217 熊野へと続く樹海や霧のぼる
218 参道へ水打つて店仕舞かな
219 団扇風話佳境となりて止む
220 古書店は鰻の寝床黴匂ふ
221 帯を解く如く崩るる牡丹かな
222 飛魚の舳先掠める隠岐の島
223 遠回りして片蔭を選びけり
224 咲き満ちて闇の濃くなるからすうり
225 銃身は真竹が宜し水鉄砲
226 清正の井とも言はれて涸れ知らず
227 面をとる溶接工に汗光る
228 虹たつやダム放水の水煙
229 風涼し谷戸の奥なる極楽寺
230 セーラ服細きうなじの襟涼し
231 氷菓食ぶ峠の茶屋はめじろ押し
232 花火待つ一期一会の人親し
233 参道の裸電球木下闇
234 手の汗を拭ひ乳飲み子受け取りぬ
235 上げ潮に運河の匂ふ夜の秋
236 杖突いて慰霊碑巡り広島忌
237 男にも日傘の欲しきこの日射し
238 病窓に見下ろす妻の日傘かな
239 黙祷のさなかの電話終戦日
240 羅に背筋のばして老い知らず
241 お風入れ遺愛の墨は唐渡り
242 羽博けば卵の見える浮巣かな
243 国境といえど果てなき麦畑
244 詩ごころの失せたる京の暑さかな
245 歯が種に当たるや木の実口にして
246 峯雲に向ひて校歌斉唱す
247 旅疲れ癒す朝顔濃紫
248 卆寿なほカラオケ通ひ生身魂
249 アルバムの父をしのびて盆供養
250 暁の散歩を日課暑に耐ふる
251 写経して一字欠落昼寝覚
252 秋立つと庭の隅隅まで掃きぬ
253 風紋の見られぬ砂丘油照り
254 目移りの色また色の夏料理
255 だんまりを決め込むいんこ暑気中り
256 帰省してしみじみ仰ぐ夜空かな
257 橋の下抜けくる風や夕涼み
258 真つ暗な河原に人出遠花火
259 石仏の御座す古道や木下闇
260 善光寺詣でて避暑を終りけり
261 長靴の農夫も混じる蛍狩
262 日の昇るまでの散歩や朝曇り
263 物納に決まりし畑や草茂る
264 北欧の血をひく猫の夏負けて
265 山の家郵便受に小鳥来る
266 潮騒の祝詞消しもす海開
267 梅雨明の畑に長靴干し忘れ
268 縁側につめて坐るや月鈴子
269 夏帽子もて顔拭ふ測量士
270 控へ目にビール注ぎ足す通夜の客
271 眺望の城址は涼し湖の風
272 ひん曲る胡瓜馬にもなりきれず
273 音立てて廻る鍛冶屋の扇風機
274 糠床に一夜を過ごす胡瓜かな
275 混雑や観光バスの花火客
276 震災の地より届きぬ御中元
277 世阿弥の忌目元涼しき男舞
278 しんがりの気遣はれゐる滝の道
279 ひぐらしの後ずさりして鳴き出しぬ
280 一葉落つ自刃やぐらの静けさに
281 水亭は一番人気秋暑し
282 星空の闇に虫の音鳴き止まず
283 避暑の荘門は丸太ん棒二本
284 ひさびさに七輪に焼く初秋刀魚
285 間髪を入れずおひねり飛ぶ神輿
286 天高し何はともあれ野に出でん
287 吊橋の濡るるを渡る滝見かな
288 一病のありて息災水を打つ
289 大緑陰ベンチのたつた一つとは
290 ぎやあぎやあと騒ぐ烏や秋暑し
291 ソファーよりだらりの腕や三尺寝
292 鳥打帽あみだに被る案山子かな
293 灯を消せば庭に昂ぶる虫時雨
294 夜も煙上ぐる浅間に星飛べり
295 暗闇に吾は居るぞとつづれさせ
296 おかずなくとも新米をお代わりす
297 砲台に草刈の音ひもすがら
298 荒れ庭にたつた二本の曼珠沙華
299 ふるさとに帰る家なし秋刀魚焼く
300 園庭に二胡の演奏十三夜
301 回復の夫に一献今年酒
302 月天心スカイツリーの低く見え
303 点灯の大工仕事や暮早し
304 鳴き交し落穂ついばむ群雀
305 鵙高音運動場に人を見ず
306 山荘の一歩に木の実しぐれかな
307 秋晴れて馬柵にあまねく馬具を干す
308 藁塚は子の立並びたる如し
309 国分寺跡に千草の咲き乱れ
310 社務所とはただ名ばかりぞちちろ鳴く
311 馬肥ゆるたてがみ風に光りをり
312 里神楽神々の撒く祝ひ餅
313 海のぞむマンションの窓布団干す
314 渓流のいよよ細りて水澄みぬ
315 乱秩に埋もれて灯下親しめり
316 ぼんやりと眺める窓や今日の月
317 菊手入れ長期の留守を案じつつ
318 船頭は話好きらし水の秋
319 葛の花播磨灘へとなだれけり
320 山寺は庫裏の際まで猪垣す
321 一湾の風の通りに稲架を組む
322 朝晩の冷え一段と万年青の実
323 籐籠にあざみを活けて客迎へ
324 ステップを踏み御機嫌や祭馬
325 家修理この秋晴れを外に出でず
326 幾年をこの黄楊櫛で木の葉髪
327 身にぞ入む線香煙る自刃の碑
328 石垣の高き城濠暮早し
329 石仏の里を巡りて惜しむ秋
330 吊橋を映してダム湖澄みわたり
331 佇んでをれぬ寒さの吟行地
332 つきることなく流れくる落葉かな
333 古町の日向日陰に菊残る
334 灯台の崖を覆ひて葛枯るる
335 熱燗をたつた一本自祝とす
336 白鷺の立ち尽くすのみ崩れ簗
337 彼方まで車窓一面刈田かな
338 文化の日金物市に鍬を買ふ
339 露吹きて審査を待てる菊花展
340 翳りてもすぐにまた照る冬日和
341 金喰ひの松の手入を怠らず
342 三国を見渡す峠天高し
343 着ぶくれや悠々自適とはゆかず
344 秋深し奈良町に聞く三味の音
345 さほどには飛沫飛ばさず芋水車
346 銀ぶらを楽しみ納め句会かな
347 首振りて飾りを厭ふ祭馬
348 縁起物笑顔で値切る酉の市
349 解体を待てるホテルに蔦紅葉
350 雪吊つて威を整ふる松高し
351 炉開の稚児には重き織部かな
352 素人の短き丈の牛蒡掘り
353 みかんの木今年初生りただひとつ
354 工房の灯のうすうすと夜寒かな
355 新味噌の香りをめでる握り飯
356 富士山の初冠雪を遠拝み
357 はやばやと煮物の匂ひ暮れ早し
358 メモに無き物を買ひ足し年用意
359 太葱の刀並べるごと売られ
360 大鉄瓶たぎる囲炉裏や千年家
361 義士の日や土産物屋に陣太鼓
362 我ながらよく働く手よ手袋す
363 雑兵の散らばるごとく風落葉
364 嵩減りし紅葉と云ひて沙弥の掃く
365 宝前に心の煤を払ひけり
366 七五三茶髪の父に背負はれて
367 不器用な妻の口出す障子貼り
368 ルミナリエ点灯寒さ忘れけり
369 紅葉狩夫の手こぎの舟に乗り
370 雪しまく停車の長き無人駅
371 粕汁にほつと一息歩かう会
372 老いてなほ読書三昧冬灯
373 湯気立つる路地のをちこち中華街
374 銘仙の綿入母の匂ひかな
375 歌碑句碑を巡る嵯峨野路紅葉冷え
376 閑かさや落葉明りの石畳
377 聖母像洗ふ信者の年用意
378 足湯する相合傘の時雨かな