平成26年メール句会全入選句

26年の特選を皆で選びましょう。
今年の入選句は280句、 良いと思う俳句、お好きな俳句を10句選んで、選句フォームよりお送りください。
締め切りは、1月15日、結果の発表は1月20日頃の予定です。
選句はこちらから


1	指針とす一句ありけり初暦	
2 共白髪変らぬ椀で雑煮食ぶ
3 手綱引き馬上に御慶申しけり
4 釣舟の点在したる初景色
5 福耳に容赦なかりし寒き風
6 七日粥草の名唱へきざみけり
7 ぼろ市の鏡に映る空の青
8 奥宮へ続く参道淑気満つ
9 湖面凍結公魚釣果期待大
10 着膨れの体重増えて見えにけり
11 目の痛くなりしどんどの火勢かな
12 おとがひに髭ととのへて帰省の子
13 ぼろ市に買ふ刑務所の作業品
14 山里やかかるなぞへにどんど焼く
15 成人の日や神宮に献血車
16 郵便夫猪垣沿ひを登り来る
17 一本の丸太を焚火宇陀も奥
18 着膨れの吾を一瞥す神の猿
19 剥がしたる書画も値打ちやボロの市
20 千社札禁じ山門注連新た
21 餅花や宿の逗留はや四日
22 これがまあ喰ひ納めかや晦日蕎麦
23 寒晴やゴム長干され漁師町
24 廃校の手入れ無き庭去年今年
25 吟行の冷えに鍋焼きうどんかな
26 初仕事バッグ抱へて急ぎ足
27 抱負など一言語り屠蘇祝ふ
28 学問の手綱緩めず去年今年
29 犬つれしひとは目深に冬帽子
30 冴え返る風の頬刺す湖畔かな
31 石段の片側のみを雪掻きす
32 からし種ほどの芽吹きの雪柳
33 休肝と決めし夕べの蜆汁
34 自己主張する棘選び剪定す
35 雪晴れて突つ立つスカイツリ−かな
36 大雪に思ひめぐらす飛騨の旅
37 見上ぐればなぞへ一面梅林
38 癒ゆる身の臓腑に沁みし新酒かな
39 ただ一樹咲く白梅に人だかり
40 初午や雨に出店の二つ三つ
41 恋の猫本殿なれど憚らず
42 雪霏霏とタイヤの跡にすぐ積もる
43 六甲の端山に残るまだら雪
44 水仙花匂ふ夜更けの洗面所
45 山鳩の啼く声やまず冬木立
46 足の向く先を恵方と詣でけり
47 日向ぼこ爪切る音の響きけり
48 春節や迷路のやうな中華街
49 讃美歌の洩れくる庭や蝶の昼
50 試歩の杖なくともがなと青き踏む
51 風傷みせぬは幸ひ藪椿
52 さざ波の動かしてゐる薄氷
53 指を差す空の高きに初雲雀
54 雛飾る母校は町の資料館
55 雪吊を外されし枝身震ひす
56 古民家の昏き厩に地虫出づ
57 飛騨なれば焚火の薪の太きかな
58 ジェットコースター歓声上る野に遊ぶ
59 億劫と居留守決め込む春の風邪
60 今以つて災禍の民に春遠し
61 春雨にけぶる山々高からず
62 春風や下山の僧の足軽き
63 青石の句碑を囲みて牡丹の芽
64 積まれたる石に挿されし風車
65 晩酌の一品ふえて木の芽和
66 小さき芽の明日を信じて芋植うる
67 花柄のマスクを選び花粉症
68 ものの芽の出揃ふ野球外野席
69 散ることを忘るがごとき梅の花
70 長湯して素顔に戻る春の宵
71 よくぞまあ実生五年の芽吹き急
72 花屑や汚き池という勿れ
73 北窓を開け目ざはりなビル工事
74 しがらみの如く重なり雪折れす
75 タイマーは当てにならざり目刺焦げ
76 ほろ酔ひの足は家路に春の宵
77 花冷えに肩を寄せあふ羅漢さま
78 国分寺跡てふ一碑飛花落花
79 畳む茣蓙表に裏に花の屑
80 貯水池は首都の水甕風光る
81 明日開花予定の桜訪ねばや
82 初音聞く田舎暮らしの朝早く
83 断捨離と心に決めて青き踏む
84 目潰しのごとく車窓へ落花かな
85 愛想が自慢の屋台栄螺焼く
86 剪定の刈れば刈るほど虎刈りに
87 菜の花や土手に腰掛け握り飯
88 天空に残る石垣花の雲
89 さんざめく赤提灯の路地朧
90 一年生真ん中にして登校す
91 石垣の高き城址や花万朶
92 茶覆ひをはみ出すところ初摘みす
93 見はるかす鏡光りの代田かな
94 自適とて日永に無聊託つ日も
95 鮎解禁集ひ釣竿自慢かな
96 鳥帰る浜は大師の謂れの地
97 朝晩は火の気を恋ふる立夏かな
98 遠富士に湧く茜雲夏来る
99 薔薇の庭曽つてイギリス領事館
100 ぼた山の如積みに積み雪を掻く
101 近づけば新樹に隠る天守閣
102 明易の朝日枕に届きけり
103 束の間の露の輝き人の世も
104 母の日に追慕の一花仏前に
105 急磴に立往生の鹿の子かな
106 ゴミ拾ひつつメーデーの行進す
107 口論の衰へ見せず花見酒
108 添へ竹に馴染み初めたる胡瓜苗
109 出る杭の譬へ筍掘られけり
110 孝行が自慢の嫁や田植笠
111 男子居ぬ家系に生れ柏もち
112 昼の部の公演跳ねて街薄暑
113 むき出しの白き二の腕夏来たる
114 新茶汲む知覧の空を思ひつつ
115 杉竿の磨き上げたる初幟
116 薔薇の門くぐればロシア料理店
117 磊磊の瀬音涼しき茶屋床几
118 薔薇崩る四五日家を留守にして
119 母の日の一品多き夕餉かな
120 雨止むを待ちきれずして揚雲雀
121 子供の日老人ばかり目立つ街
122 朝食を待てず竿振る鮎の客
123 硫黄の香殺生石に夏兆す
124 ここ三日家事を忘れて田を植うる
125 花あやめ戸毎に咲ける潮来かな
126 虚子の字を確かめてゐる若葉光
127 古都なれや公衆トイレに麻のれん
128 酒仕込水いただきて避暑散歩
129 地を這ひて見境なしや花南瓜
130 万緑の故郷そこここ廃屋に
131 民宿の裏は鳴き砂防風掘る
132 病むわれはどの香水も気に染まず
133 千曲川梅雨の晴間の濁りかな
134 二上山からの夕日や練供養
135 玉堂の愛でし渓谷河鹿澄む
136 空堀の跡は何処や草茂る
137 乳母車押す坂道の薄暑かな
138 庇なす大岩ありて登山道
139 剪定に鳥の巣丸見えとはなりぬ
140 その裏に守宮貼り付く芳一堂
141 端居して効能書きを拾ひ読む
142 まずビール全員の手の上がりけり
143 練塀の罅に消え入る蟻の道
144 神鶏の群れて砂浴ぶ梅雨晴間
145 近道を薦めるガイド玉の汗
146 昼餉後に思案の末のアイスティー
147 絵燈籠点りて浮かぶ師の献句
148 干梅の匂ふ夜風に安眠す
149 荒縄のごつたがえして鉾を組む
150 星掴めさうな天窓登山小屋
151 大極殿趾こんもりと茂りかな
152 底砂を綺羅に踊らせ清水湧く
153 天辺に襤褸乗せしまま今年竹
154 氷像のごとく乱立雲の峰
155 戦争を知らぬ子ばかり魂祭
156 堂縁に座蒲団並ぶ梅雨晴間
157 どれほどの縄が要るのか鉾立てる
158 皮一枚脱ぐや即ち今年竹
159 風入れの誌友の遺品授かりし
160 踊の輪抜けて夜風の宮の杜
161 湖広く入り江入り江に菖蒲園
162 銅像の台座に踊太鼓かな
163 緑蔭のベンチまさかの鍼治療
164 うすものや瓜実顔の尼法師
165 買物を夫に頼みし炎暑かな
166 片言の英語で汗の道案内
167 泡一つ吐いて一輪水中花
168 市中を抜けし夕風釣忍
169 もてなしは一杯の水日の盛り
170 左利き右利きよりも草矢飛ぶ
171 城山の址ひつそりと草いきれ
172 昼顔やまたも遅れて路線バス
173 雷鳴や鏡に映る己が顔
174 螢飛ぶ闇指す指のほの白く
175 運転を任せて心地よき昼寝
176 ガレージの隅にけむりて蚊遣豚
177 寒暖計鰻上りや秋暑し
178 猛暑とて近隣に訃の続きけり
179 フランスパン買ふ楽しみも避暑散歩
180 世を忍ぶかに一輪の思草
181 登山小屋携帯電話つながらず
182 引き返すことも勇気の登山かな
183 遠目にもそれと分かりし浮巣かな
184 夕立の前漆黒の闇と化す
185 鵜塚にも立ち寄りもして鵜飼待つ
186 喧噪の街を見下ろす城涼し
187 西日さす待合室にひとり待つ
188 花火終え煙に霞む月明かり
189 おいそれと桶に沈まぬ西瓜かな
190 帰宅路の思ひ掛けない揚花火
191 草むしり日昇らぬうちと鎌を持つ
192 生身魂人を疑ふこと知らず
193 老いてなお祭り太鼓に血が騒ぐ
194 縁先にならぶ庭下駄星月夜
195 祭過ぎ幟まだ立つ村は過疎
196 水災の碑の建つ土手や曼珠沙華
197 母の世の低き文机灯親し
198 ありがたや入園無料敬老日
199 海峡に微塵となりて鳥渡る
200 休暇明け明日に控へて徹夜の子
201 腰いたを云ふてはをれず栗拾ふ
202 若きらと喧々諤々夜の長し
203 瀬の音に耳を傾け月を待ち
204 裏返る蝉のどつこい生きてをり
205 一晩で黒ぼこの畑猪の害
206 手捻りの壺よく似合ふ草の花
207 長寿箸手土産に添へ敬老日
208 渡し場となりたる岸辺秋の声
209 箸の手を休めちちろに耳澄ます
210 この句会女ばかりや西鶴忌
211 船宿の潮焼けしたる秋簾
212 湯気の立つ飲み物恋し白露かな
213 露天湯に四肢を伸ばすや虫時雨
214 芭蕉翁通りし那須野蕎麦の花
215 アンデスの塩かけて食む衣被
216 菊酒をふふむ盃揺すりては
217 国引きの浜一杯に鰯雲
218 松手入れ先づは天辺摘みにけり
219 晩学の今が青春爽やかに
220 老いの目の残り蚊打つもままならず  
221 喫茶店釣瓶落としに立ち寄らず
222 月蝕に深まる闇や虫浄土
223 飼葉桶壁に打ちつけ馬肥ゆる
224 蓑虫庵入るやいなやに蚊にささる
225 秋天を突く槍岳の穂先かな
226 馬肥ゆる駒の名記す飼葉桶
227 夜目効かず顔にはりつく蜘蛛の糸
228 打ち上げの会痛飲の新酒かな
229 雲ひとつなき大空の高きかな
230 玉入れの一気呵成や運動会
231 息継ぎのごと秋蝶の翅打ちぬ
232 風雨にも近道とらず虫送り
233 外つ国の人も裏方村まつり
234 冬瓜のごろごろころび店狭し
235 夕日落つ九十九里浜鳥渡る
236 県道に沿うて猪垣つづきけり
237 見かけよりわりと堅物かりんの実
238 廃屋の庇に下る烏瓜
239 留守番の三日目となる夜長かな
240 ベビーカー下りしは子犬草の花
241 ロープウエー一気に摩耶の紅葉へと
242 深大寺何はともあれ走り蕎麦
243 鷹の爪吊る民宿の非常口
244 茲十日お日さままかせ大根干す
245 マラソンの敗者を包む毛布かな
246 坪庭に散り敷く紅葉色褪せず
247 風呂吹に眼鏡曇らす翁眉
248 歴代の庵主の句碑を木の実打つ
249 四阿と見まがふ厠照紅葉
250 鳶笛のよく通る日や牧閉ざす
251 尺となり鮎の落ちゆく早瀬かな
252 走り書きけふ大雪と日捲りに
253 大綿の渦巻くあたり行者墓
254 眩しさに社内読書の小春かな
255 ふるさとの紅葉まぶしき車窓かな
256 鴨浮寝筑波颪をまともなる
257 寒牡丹見よと留石除けらるる
258 子沢山誇示するごとく布団干す
259 一人居の聖樹小さしワイン酌む
260 山家なれ庭木余さず大根干す
261 独居や風邪籠りなどしてをれず
262 不老水汲む心あて除夜詣で
263 なるやうになれは口癖年用意
264 寒風をものともせずに甲板に
265 傾きし下馬石を打つ木の実かな
266 歳晩の忙中閑やうたた寝す
267 数へ日の買ひ置きしてる雑貨品
268 走り根に躓く勿れ落葉踏む
269 灯の海の駅前広場クリスマス
270 唯でさへ狭き通路や年の市
271 アーケード出口入口社会鍋
272 手八丁口八丁の年用意
273 玄海の寒鯖で酌む生一本
274 扉の開くたびに冷風十二月
275 下戸なれど誘ひ合はせておでん鍋
276 雪吊の梯子するする伸びにけり
277 噴煙の空を眺めて大根干す
278 傘ささぬ人の行き交ふ夕時雨
279 蒼天を突く参道の冬木立
280 新聞でくるむ焼き芋懐に