27年の特選を皆で選びましょう。 今年の入選句は293句。 良いと思う俳句、お好きな俳句を10句選んで、選句フォームよりお送りください。 締め切りは、1月15日、結果の発表は1月20日頃の予定です。 |
1 雑踏の参道で述ぶ御慶かな
2 氏神へ何はさておき初詣
3 朝の作務焚火を消して終はりけり
4 旅先の夫との会話初メール
5 七草の一と草神の庭に摘む
6 手びねりのぐい呑み重し年酒酌む
7 岩の如雨に固まる落葉掃く
8 仲見世は帰路の楽しみ初詣
9 日当たりの女坂より梅探る
10 集落を見下ろすなぞへ猪垣す
11 雪野原湯宿看板林立す
12 天下一品夫の自信のおでん炊く
13 野島崎灯台白く初茜
14 おみくじを結ぶ指先冬木の芽
15 湯たんぽや就寝前のひと仕事
16 お年玉足りぬ袋を急ぎ買ふ
17 どの鳩が鳴いてをるやら日向ぼこ
18 出初め式いなせな衆の木遣唄
19 夕方の年の市にて買うおせち
20 初戎白高張の揺れどほし
21 ぼろ市や持合はせなき値段言ふ
22 縁日で賑はう鄙の午祭
23 雛の間に北山杉の床柱
24 豆撒きの豆袋より当たり札
25 おしやべりにそつちのけなる日向ぼこ
26 近道の畦は柔か下萌ゆる
27 枯野原泰然と立つ城趾の碑
28 天冠に光る宝石享保雛
29 湯冷めかと思ひテレビを消しにけり
30 白一色聞きしに勝る雪の余呉
31 白粥に黄の盛りあがる寒卵
32 旅に酌む一期一会の囲炉裏酒
33 旧街道格子の内に雛飾る
34 雨雫芽吹きの紅を膨らませ
35 親も子も闘志を秘めて大試験
36 踏みつけて音心地よき霜柱
37 悴める手に受く文の軽きこと
38 キッチンは私の城よ日脚のぶ
39 鴨の陣投込む餌に総崩れ
40 牛とても嫌ふぬかるみ牧開き
41 新調の靴の弾力青き踏む
42 涅槃会の果つやてきぱき作務の僧
43 矍鑠と媼の吊るす凍豆腐
44 そこはかと檜の匂ふ初湯殿
45 犬好きの会話果てなき日向ぼこ
46 川沿ひのジョギングコース猫柳
47 日の当たる出窓に移すシクラメン
48 鬼やらひ御堂の四囲の五色幕
49 杣道の先は野梅へ下る道
50 日脚伸ぶ子の縄跳びの百を超へ
51 葱畑育ち良き畝悪しき畝
52 風を追ふごと行き過ぎし枯葉かな
53 彩窓をこぼれるる光春立ちぬ
54 四季の歌歌ふ梅見の車椅子
55 芥子雛の一点の朱がおちよぼ口
56 菜の花や岬めぐりのバスは空
57 山住みに慣れたるはずの花粉症
58 北窓を開き引越用意かな
59 雑草を分けて出でたり名草の芽
60 詠み人の知らぬ歌碑立つ道おぼろ
61 合掌家二階三階隙間風
62 立子忌へ着てゆく紬仕付けとる
63 御殿雛飾る旧家や土間暗し
64 数多杖ついて貫禄梅ま白
65 日向ぼこ図書館の椅子心地良し
66 八つ橋はコンクリ製や菖蒲の芽
67 風光る港の見ゆる丘に佇ち
68 茶摘み唄畝を違へて声揃ふ
69 無人駅せめて暖炉の欲しきかな
70 今日もまた予報はずれの春霙
71 カレンダーめくる早さよ二月尽
72 ベランダの物干竿の屑若布
73 剪定す己が迷ひはらふごと
74 行儀よく枝先揃ふ枝垂梅
75 昼酒はうまし蛙の目借時
76 おしゃべりに夢中の媼ら花を見ず
77 献血に一番のりの新社員
78 諸手あげ駆くる園児や飛花落花
79 単調な車窓の景色春眠し
80 日光浴あつらへむきと草を引く
81 足下にまつはる犬やたんぽぽ黄
82 作務僧ら横一列に草を引く
83 草萌ゆるあのもこのもの休耕地
84 一病に花の見ごろを逃しけり
85 試合後は和気藹藹の花筵
86 聖堂を出る染玉子手に手にし
87 遠足の子に加はりて由来聞く
88 花疲れ粥に梅干欲りにけり
89 春の宵読まねばならぬ書ありて
90 青空に浮かぶ初花二つ三つ
91 雨止みていつのまにやら夕蛙
92 ふらここは愉し座板は狭くとも
93 頑なに膝崩さざる新社員
94 ランナーに手を振る少女花菜風
95 一陣の風に初蝶見失ふ
96 参道の洩れ日に燃ゆる牡丹の芽
97 子が走り親も駆け出す風車
98 鐘の音の霞に解けて遠筑波
99 ちまき盛る伊賀の大皿祝膳
100 語部を募る広島夏来る
101 水門は離宮の名残りあやめ咲く
102 前向きに生きんと母の更衣
103 名にし負ふ九十九里浜松の蕊
104 一病と付き合ひ長し薬の日
105 一病の小康状態花は葉に
106 嫋やかや万の藤房もつれなし
107 永らへて傘寿祝の甚平着る
108 信号を待つ間も逸る神輿かな
109 青空の頭上遥かに囀りぬ
110 追剥のごと筍の皮を剥ぐ
111 ひと句会終へて一献初鰹
112 ペン胼胝は死語となるべし啄木忌
113 雲一つ無きを見渡す五月晴れ
114 冷蔵庫頼みの一人くらしかな
115 礼拝の鐘の響くや夕薄暑
116 車椅子押せば芍薬目の高さ
117 たつぷりと畑に水を夏来たる
118 色失せてかたち崩るも薔薇は薔薇
119 田植とて男女を問はず頬被り
120 母の日の居間に子の物孫の物
121 テント張る修繕工事梅雨長し
122 夕富士は影絵の如し麦の秋
123 紫陽花と言へば鎌倉寺めぐり
124 照り返す洗面鏡や西日濃し
125 おはようと声かけあひて水をまく
126 つややかややじろべえめくさくらんぼ
127 なにごとも無くて夕餉の冷奴
128 水底の水掻きの影水すまし
129 離島とはいえども広き青田かな
130 蓮見事まさに落慶日和かな
131 バス待つや避けやうの無き大西日
132 養生の芝に緑陰広がりぬ
133 追へば逃げ追はねば止まる蛍かな
134 訪ふひともなき奥ノ院夏落葉
135 磨崖仏膝下累々梅雨茸
136 海開き津波避難の訓辞より
137 忌を修す墓地に鶯老を鳴く
138 登山小屋ランタン持ちて厠へと
139 明らかに現実逃避草を引く
140 やまかがし潜む園とは物騒な
141 草刈機一心不乱音立つる
142 梅雨霧の這ふリンクスに第一打
143 古刹への坂九十九折ほととぎす
144 園児らのどろんこ遊び梅雨に入る
145 咲き誇る薔薇にかしずくカメラマン
146 走り根に迂回やむなし蟻の道
147 店涼し相席なれど打ち解けて
148 梅雨晴間目当ての富士はいづこにや
149 日本海見下ろし林檎袋掛け
150 この暑さついていけぬと外出せず
151 餌咥へ蟻の韋駄天走りかな
152 駅前や神輿ここぞと揉みに揉む
153 塩加減どうのこうのとらつきよ漬け
154 強風に煽られてゐる黒揚羽
155 今の世にランプの宿や河鹿聴く
156 詩仙堂一期一会の端居かな
157 青田道郵便バイクの赤走る
158 鐘一打涼しと一句さずかりぬ
159 自転車に顎紐伸ぶ夏帽子
160 星まつり思ひもよらぬ子の願ひ
161 そこここに清水の湧ける遊歩道
162 伝来の美田大事に植ゑらるる
163 羅の粋筋ならむ浅草寺
164 聳え立つ神杉滝を隠しけり
165 嬉しげに曳かれ行く犬梅雨晴間
166 順番のあるかに鳰の子等進む
167 忘れじとバックに入れる日焼け止め
168 くぐるたび青き匂ひの茅の輪かな
169 谷底に届かぬ光御来迎
170 軒下に農具並べて梅雨晴間
171 産土の細き参道草茂る
172 中元のお礼の電話長きかな
173 梅雨晴れや庭でやたらと鳥の鳴く
174 ひと雨に蛍袋の立ち直る
175 夏木立まなこ閉づれば風の音
176 郷に入り郷に従ひ焼トマト
177 梅雨晴間雑草の根の強きこと
178 冷房の店に買い物つい長居
179 お品書き飛ばす風あり川床料理
180 喜寿を祝ぎはらから集ひビール酌む
181 考へる人は裸像や炎天下
182 遭難碑なべて若者身にぞ入む
183 大手術痕を自慢の生身魂
184 茶屋休み庭一面に梅を干す
185 青田風芭蕉の道と聞くからに
186 終戦忌学童疎開の記録見る
187 物好きと言はれ炎暑の畑仕事
188 墓参り村二十戸の恙なし
189 自他許す阿呆自慢の踊るなり
190 降るといふ雨待ち切れず水を撒く
191 会ふ度に同じ挨拶油照
192 赤髭も青髭もあり玉蜀黍
193 粗に密に羊群れたる夏野かな
194 眠たさを追ひ払ふべく髪洗ふ
195 目に見へず顔へばりつく蜘蛛の糸
196 無花果の甘い香りの雨上がり
197 いつの間や眉のあたりを蚊に刺さる
198 下町の地下道匂ふ残暑かな
199 長編の本をバッグに避暑の旅
200 鈴生りの柘榴に鋏入れにけり
201 懇ろに愛畜碑掃き牧閉す
202 積ん読の書を開き読む秋灯下
203 台風のシーズン終り窓掃除
204 夜半目覚む吾に髭振る油虫
205 踊の輪唄が変はれば広がりぬ
206 幸あれと飛沫を浴びる神の滝
207 自己流に生きて矍鑠敬老日
208 足弱や坂の下より墓拝む
209 地下街に迷ひ地上へ秋高し
210 部屋の灯を消せばはつきり遠花火
211 水澄みて魚住む川に戻りけり
212 秋晴れて久しぶりなる散歩かな
213 粛々と茶席の準備秋灯
214 新涼や眉墨すいと一を引く
215 梅花藻や水は水車へまつしぐら
216 蓑を干す納屋に新藁匂ひけり
217 引網に跳ぬる鰯の青光り
218 吟行子目を皿にして茸採り
219 新涼の宮に柏手響きけり
220 皺深き似た者夫婦稲を刈る
221 見た目より焼けば小さき秋刀魚かな
222 始まりは盗人萩の花野かな
223 秋澄んで普請大工の槌の音
224 ポストまで歩みをゆるめ月の道
225 月の出や心くばりの紙燭置く
226 見るからに廃物利用猪垣す
227 芭蕉庵の朽ちし敷居やちちろ鳴く
228 風に鳴るテープ巡らし鹿垣す
229 風害に残りたる枝返り咲く
230 藁くづの匂ひの中の苅田道
231 何植える思案よりまず草を引く
232 初鴨を捜しダム湖を一巡り
233 色変へぬ松亭々と御陵守る
234 病人の機嫌伺ひ栗を剥く
235 稲架に網しかと被せし学習田
236 紅葉狩り赤城颪に閉口す
237 手招きに誘はれ入りし芒原
238 庭下駄を脱げばちちろの鳴き始む
239 まだ陣をなすほどならず鴨飛来
240 そぞろ寒博物館の高天井
241 一鉢の遺愛の五葉松手入
242 山積みの枝豆を買ふ人だかり
243 卓袱台は母の文机秋灯し
244 渦巻いて芥寄せ来る崩れ簗
245 作柄の平年並みの稲を刈る
246 無農薬曲がる大根味は良し
247 赤い羽根つけ忘れ来てまた募金
248 農道に見上げる程の泡立草
249 弟が姉に夜食の握り飯
250 かさこそと奥院への道落葉踏む
251 菊花展古典菊には賞付かず
252 秋祭り無人の駅に幟立つ
253 窓開けて確かむ外気今朝の秋
254 棚をくぼませてだらりと糸瓜垂れ
255 毒持つと見えで菌の真白かな
256 耳なりの電子音めく風邪寝かな
257 祝言の盃交はす菊人形
258 膝頭焦げむばかりや日向ぼこ
259 暮れがての園に聞きとむ残る虫
260 頼みとす階の手摺の冷たかり
261 火縄銃煤けし茶寮炉を開く
262 通院の合ひ間あひまの冬支度
263 学食の大盛の飯豊の秋
264 湯豆腐を囲むもてなし京惜しむ
265 深秋の叡山愛づる旅心
266 会場にマスクの多きコンサート
267 積み重ね畑に干さるる落花生
268 磐座の注連の古りたる神の留守
269 柚子二つ添へて届きし回覧板
270 老木もここぞとばかり返り花
271 家路急く鉄橋釣べ落としの日
272 間道は元勲通り鵙高音
273 天空の城を彩る紅葉山
274 五十鈴川映る紅葉に手を濯ぎ
275 祝ぎ事の多き一年年惜しむ
276 短日や化粧もせずに句会へと
277 煤逃げに届く買物メールかな
278 遊具皆止まり公園冬ざるる
279 ロケを見る忙中閑の師走かな
280 鴨浮寝ほどよき間合保ちつつ
281 彰義隊墓所に枝伸び帰り花
282 息白くめっきり減りし散歩人
283 池普請盥に運ぶ大鯰
284 銀杏散る違法駐車の車列にも
285 占ひの幣新しく年用意
286 堂々の冬木となりぬ大欅
287 性懲りもなく歳末の宝くじ
288 堰堤の水の細りて冬に入る
289 きつ先を子に見守られ聖菓切る
290 寡黙なる人の一芸年忘
291 南窓すつかり隠し大根干す
292 黒服の冬服なれどこの軽さ
293 相槌は同意に非ず懐手