出張の帰途のビールのことのほか　淑子

初なりの強き刺もつ胡瓜かな　　　静子

マネキンや浴衣の帯の胸高に　　　尋嘉

雲の峰火柱のごと染まりけり　　　雅紀

上方の旅にしあれば鱧を食ぶ　　　元二

つば広き帽子の女巴里祭　　　　　拓水

骨董の市さながらや曝涼会　　　　由紀子

愛用の旧仮名辞書や土用干し　　　一弘

落蝉や風葬のごところがりぬ　　　信行

嬌声のあがる二階屋粽飛ぶ　　　　静子

サンダルの模様に日焼けしたる足　三重子

空腹に土用鰻を待つ間　　　　　　怜子

雷は平気と眉の動かざる　　　　　英子

大祭を終へて青田の峡の村　　　　倉太

夏山の名も無き沢を越えにけり　　継鳥

本宮の大立札や夏祓　　　　　　　正樹

幼子の負けじ大の字昼寝かな　　　直之

帰省してふるさとの地図たどりけり厚子

掛香や柱に残る刀傷　　　　　　　かもめ

海見えて旅の終わりの月見草　　　あや子