ひぐらしの後ずさりして鳴き出しぬ  多美子
ぎやあぎやあと騒ぐ烏や秋暑し      みどり
原爆忌老いし語り部慟哭す          柳影
花火待つ一期一会の人親し          とめ子
上げ潮に運河の匂ふ夜の秋          忠利
旅疲れ癒す朝顔濃紫                静子
卆寿なほカラオケ通ひ生身魂        桂伸
払暁の稲妻走るカリブ海            泰子
盆棚の茣蓙青々と匂ひけり          多賀子

西行庵跡形のなき寺の秋          操
歌垣の山ふところにつくつくし    倉太
新しき畳匂ふや涼新た            喜代子
絵燈籠点りて浮かぶ師の献句      隆雄
戦争を知らぬ子ばかり魂祭        周雄
寒暖計鰻上りや秋暑し            章子
花火終え煙に霞む月明かり        晴子
帰宅路の思ひ掛けない揚花火      恵子
縁先にならぶ庭下駄星月夜        豊治


8月2015
        
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